ゆうちょ銀:株式アクティブ運用開始へ、5年で数千億円規模も

更新日時
  • 積極投資型ポートフォリオを拡大-体制強化で約20人採用へ
  • オルタナティブ投資に魅力-ゆうちょ銀副社長インタビュー

ゆうちょ銀行は、市場環境が整い次第、株式のアクティブ運用を開始する。当面は1000億円を目指し、5-10年で数千億円規模に増額する意向。運用高度化の一環で、現在は全て指数連動のパッシブ運用になっている株式の一部を入れ替えることで収益拡大を図る。

  同行の運用責任者、佐護勝紀副社長(49)はブルームバーグの取材に対し、ベンチマークを上回るリターンを目指すアクティブ運用について、ESG(環境・社会・企業統治)投資の視点を取り入れながら、内部運用のほか委託も活用して資産を拡大するとした。6月末の国内株式の運用規模は2兆1412億円で、アクティブ運用を一部取り入れ「パッシブと並走させるくらいがちょうどいいのでは」と話した。

  低金利の厳しい経営環境の中で、同行は運用資産約207兆5375億円の一層の収益拡大を目指してポートフォリオの組み替えを進めている。今年度は期間3年の中期経営計画の最終年度に当たっているが運用関連の目標は最初の1年半で達成したという。株式や外国証券、オルタナティブなど積極投資型のサテライトポートフォリオ(SP)は15年3月末の48兆円から現在は69兆円に拡大、17年度末で60兆円としていた目標を上回っている。

  佐護氏は「運用環境が悪かったのでやるべきことを前倒しした結果」だと分析。株式のアクティブ運用については「体制は整った」とし、いまは市場環境を見極めているところだと話した。具体的な環境条件については言及しなかった。

  ゆうちょ銀の株式アクティブ運用参入について、ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者(CEO)は「2年ほど前からアクティブ参入のうわさは耳に入っていたが、やっと今というのは民間企業に比べて何倍もスローだなとの印象を受ける」とし、「その間に株価は上がり切ってしまい、結果的に時機を逸してしまっている」述べた。

外債投資

  一方、106兆7670億円あった国債は過去約3年間で66兆8907億円に急減、資産構成は大幅に変化している。佐護氏は国債について、マイナス金利下で「魅力がない」とし、今後も残高は減る見通し。償還分については「意味のない投資はしない」方針のため、待機資金が増えることもあるという。

  外債は米国を中心にドイツ、フランス、英国などで投資しており、増やす方向だという。「リスク対比のリターンが投資に値すると判断すれば格付け見通しがどうであれ投資する」として、格付けがBやCCCのハイイールド債も組み込んでいる。クレジット商品が多く、ローン担保証券(CLO)の買い増しや新たな商品も検討している。

  金融庁は6月、19年3月末に導入するゆうちょ銀行や地銀など国内基準行に対する債券保有の規制強化案を公表。金利変動時の損失を自己資本の20%以内に収めるよう求める内容で、外債に円債より高いリスクウエートを設定した。外債残高を縮小する金融機関もあるが、佐護氏は「金融庁は外国証券の投資縮小ではなく、リスクを取る場合は体制を整えるよう求めている。当行は人員をそろえており要件を満たしている」と話した。

  佐護氏によると、ゆうちょ銀の運用部門は約140人体制だが、今後1年でオルタナティブを中心にさらに約20人増やしたいという。プライベートエクイティ、不動産などオルタナティブ全般に最も魅力を感じているとし、6月末現在で6872億円の投資残高を今後5-10年で5、6兆円をめどに積み増す考えという。

  また、東芝が進めているメモリー事業売却で、ゆうちょ銀が買収スキームに参加を検討しているとの報道について、佐護氏は個別案件についてコメントしないとしつつ「一般論としては、来た話は全て純粋に投資として検討し、目線に合えば取り組む」と述べた。日本を代表する企業の一つである東芝について「このような企業の役に立つならば、それはゆうちょ銀が本来果たすべき役割に合致している」と語った。

(第10段落に東芝メモリへの出資検討についてコメントを追加しました.)
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