アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は今年6月ブルームバーグに対し、「業界初になろうという焦りはない。われわれが重視するのは最高であることであり、ユーザーの暮らしを本当に良くするものを提供することだ」と語った。この発言は米アマゾン・ドット・コムが開拓したスマートスピーカー市場に遅れて参入したアップルが新製品「ホームポッド」を発表した際のものだが、次期「iPhone(アイフォーン)」についても言及していたのかもしれない。

  今年は携帯電話業界を一変させアプリやアクセサリーのエコシステムを創出した初代アイフォーンの発売から10周年であることから、秋に発売が予定される次期モデルには非常に高い期待が寄せられているが、技術革新のケーススタディーではなさそうだ。むしろ他社製品で既に使われている機能を完璧にした製品になるだろう。アップルは「最初ではなく最高」を目指す価値観を繰り返し実践しており、ライバル企業がしくじった技術や機能に着目して実用化し、普及を促進した。この10年のアイフォーンの売り上げが12億台余りに上ったことがその証しだ。

「iPhone8」はここが変わる
「iPhone8」はここが変わる
Bloomberg

  もちろん、後発でも完璧なモデルを追求する方針を採用する企業は他にも多い。最近の一例は、新興ソーシャルメディア企業のスナップが開発した写真機能をフェイスブックが導入したことだろう。しかし、この方法でアップルの右に出る企業はいないと言える。新型アイフォーンは他社が発明した充電技術を利用するほか、3Dセンサーによる顔認証で瞬時に端末をロック解除できるアップルが開発した機能も搭載されるとみられる。アップルはコメントを控えた。

  ブルームバーグが先に報じたようにアップルは、「7」と「7プラス」の改良版とデザインを一新した「8」の3つのモデルを発表する計画だ。いずれの機種も一段と高速なプロセッサーを搭載するなどお決まりのアップグレードを行うが、最上位モデルの8はアップルの腕の見せ所となる。

  最も注目されるの2つの特徴はスクリーンに関係する。有機EL(OLED)技術を採用するほか、前面のほぼ全てをディスプレーにして外枠を薄型化し、前面上部にカメラと新しいセンサーを配置する。OLEDスクリーンはここ数年、サムスン電子の製品の中核となっており、ホームボタンのないほぼ全面ディスプレーのデザインはギャラクシー「S8」で人気となっており、携帯端末用基本ソフト「アンドロイド」の生みの親アンディー・ルービン氏が投入した「エッセンシャル・フォン」でも使われている。

  その一方でアップルは幾つかの新しいアイデアも持ち込む。ホームボタンの代わりとして端末下部にソフトウエアベースの制御エリアを作る。これはホームボタンのないアンドロイド搭載スマートフォンの基本制御からステップアップになる。7プラスと同様に8でも2つのリアカメラを搭載するが、拡張現実(AR)アプリがより良く機能するような配置にする。中核技術のアップグレードを別にすると、新型アイフォーンで最大の目玉は3D顔認証センサーだ。端末のロック解除や買い物時の認証などができる機能で、これは業界初となる。

  過去の実績を手掛かりにするなら、次期アイフォーンは大ヒットするだろう。既に数百万人がアップルのエコシステムに組み込まれており、同社が特徴的な性能と優美さを備えた製品を発売すると信頼している。一部機能が何年も前からあったものだとしてもだ。

原題:What’s New in the iPhone8

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