光通信を見直す動き、混乱経て株式や社債に買い-依然評判リスクも

  • 株価は年初来24%上昇、2000年以来の高値に
  • 同社初の10年債に旺盛な需要、発行額を4倍に引き上げ

光通信の創業者で会長の重田康光氏は、かつて世界の大富豪と肩を並べていた。2000年に業績不振から同社株価が99%暴落する大波乱を経験したが、最近では一部の投資家が同社を見直す動きを見せつつある。

Yasunitsu Shigeta, President and CEO of Hikari Tsushin,  Inc., in a conference room at their offices.

光通信の創業者で会長の重田康光氏

Photographer: Tom Wagner/Redux

  光通信株は年初来24%値上がりし、2000年以来の高値を付けている。TOPIXの上昇率(5%)を大きく上回っている。ブルームバーグの調べによると同社株を担当するアナリスト4人のうち3人が今年になって買いを推奨している。また8月に同社としては最も長い年限となる10年債を起債したところ旺盛な需要が見られ、発行額を当初の100億円から400億円に引き上げた。

  1990年代の同社はソフトバンクと並んで有望企業として市場でもてはやされていたが、携帯電話事業で想定外の赤字を計上して株価が急落、危機に陥った。2000年末の株価は1801円と、前年末の20万7000円から99%落ち込んだ。それから長い道のりを経て、投資家は同社に再び強気になっている。携帯端末だけでなく保険や給水器などさまざまな商品を手掛けるようになり、株式市場は同社の業績が上向き配当が定期的に実施されていることを好感、債券投資家はクーポンが高水準となったことで買いを入れた。

  コムジェスト・アセットマネジメントのポートフォリオ・アドバイザー、リチャード・ケイ氏は「私たちの視点からすると光通信は大変面白い株だ」と話す。株価は割安なうえにビジネスモデルは魅力的で、着実に成長しているという。同社が属するコムジェスト・グローバル・インベスターズ・エス・エー・エスは光通信に約1億ドルを投資している。

  光通信の17年3月期の連結純利益は390億円と、5前年の78億円から5倍増となった。ケイ氏は、今後5年以内に純利益が500億円を上回るだろうと予想している。株価急落以降、携帯電話販売店舗数を一時的に削減するなどリストラを進めた一方、オフィス向けの自動化機器や保険などの売り上げを伸ばした。

  日本格付研究所(JCR)の本西明久チーフ・アナリストは光通信について「かなり良い会社だ」とし、過去5年ほどかけて販売戦略を製品の売り切りから月々料金を得る形へと転換してきたことで売り上げが安定しつつあると話した。ブルームバーグ・ビリオネア・インデックスによると、2000年2月当時394億5000万ドルだった重田氏の個人資産は現在43億ドルとなっている。

評判リスク

  一方で、光通信の過去の混乱が投資の障害になっていると話す投資家もいる。朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジャーは「風評リスクが高いと思われる発行体に投資することについては、少し慎重に判断しなければいけない」と話した。同社は光通信の債券は一切保有していない。格付投資情報センター(R&I)の石野田雄太シニア・アナリストも光通信が「行き過ぎた販売」手法をとる可能性をリスクの一つとして挙げた。

  総務省は15年に光通信関連企業でインターネット接続業者のHiーBit(ハイビット)に対して、その販売手法をめぐり2度にわたり警告を発している。

  光通信の広報担当者は、市場での動向とアナリストらが言及したリスクについてコメントを控えた。ただ別の広報担当者は、ハイビットについては当局の意向に沿って販売面の改善を行っていると説明した。両担当者は会社の規則を理由に匿名で話した。

  複数の関係者が匿名を条件に語ったところによると、社債市場はこうしたリスク要因を振り払って光通信10年債に殺到、発行額のほぼ2.5倍に当たる需要が集まったという。トリプルBという決して高くない格付けながら、クーポンが1.78%と16年4月のソフトバンク債(2.480%)以来の水準になったのが魅力的だったようだ。

原題:Billionaire Shigeta’s Hikari Tsushin Gets Love From Market Again(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE