29日の東京株式相場は下落。日本上空を通過する北朝鮮のミサイル発射で、地政学リスクを警戒する売りが広がった。米国の長期金利低下やハリケーンの影響が懸念された保険株のほか、証券株など金融セクターが下げ、為替の円高進行から輸送用機器も軟調。パルプ・紙や小売株も安い。

  一方、建設やサービス、医薬品株など内需セクターの一角は堅調で、防衛関連の石川製作所は急伸。日経平均株価は朝方に一時169円安まであったが、その後は下げ渋った。

  TOPIXの終値は前日比2.36ポイント(0.1%)安の1597.76と3営業日ぶりに反落、日経平均株価は87円35銭(0.4%)安の1万9362円55銭と続落した。

  アイザワ証券投資顧問室の三井郁男ファンドマネジャーは、「北朝鮮を巡る地政学リスクは今後も付き合っていかなくてはならない。米債務上限問題や金融政策の不透明感もあり、投資家はあえて日本株のポジションを増やすリスクは取らない」と指摘。金融株は、「世界景気からみても金利が勢いよく上がっていくイメージは描けず、資金は向かいにくい」と話した。

北朝鮮ミサイル発射
北朝鮮ミサイル発射
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg

  きょう午前5時58分ごろ、北朝鮮は西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向け発射。日本上空を通過し、6時12分ごろ北海道襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下したと日本政府は推定している。安倍晋三首相は、日本上空を通過するミサイル発射は暴挙とし、「これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なう」と非難した。政府は国連安全保障理事会の緊急会合を要請、30日の開催で調整とNHKは報じた。

  きょうの日本株は寄り付きからリスク回避の売りが幅広く先行、日経平均は昨年11月の米大統領選以降初めて投資家の長期売買コストを示す200日移動平均線(1万9321円)を一時割り込んだ。為替市場での円高加速も市場参加者の心理を悪化させた要因で、ドル・円は一時1ドル=108円30銭台と4月18日以来のドル安・円高水準に振れた。SMBCフレンド証券の松野利彦チーフストラテジストは、「米国の債務上限問題や金融政策へ向かいつつあった関心が地政学リスクに引き戻された。米韓軍事演習が続き、9月9日には北朝鮮の建国記念日を控え、北朝鮮リスクが意識される場面が増えそう」と言う。

  もっとも、午後の取引はTOPIX、日経平均とも下げ渋る展開。アイザワ証の三井氏は、「下がったところは買いたい投資家がいる。日本企業の収益モメンタムは悪くなく、バリュエーション面からも選好順位で日本株が下位にあるとは思わない」とみていた。

  東証1部33業種はパルプ・紙、保険、証券・商品先物取引、石油・石炭製品、倉庫・運輸、小売、不動産、輸送用機器など21業種が下落。建設やサービス、医薬品、ガラス・土石製品、食料品など12業種は上昇。保険は、米テキサス州を襲った大型ハリケーンの影響のほか、前日の米国株市場で再保険、損保株が下げた流れを受けた。

  売買代金上位では、ジェフリーズが投資判断を新規に「アンダーパフォーム」としたファーストリテイリングが売られ、ソフトバンクグループや村田製作所、イオン、デンソーも安い。半面、ダイフクや大成建設、ニトリホールディングス、日本ライフライン、石川製は高い。

  • 東証1部の売買高は13億8700万株、売買代金は1兆8161億円、代金は7営業日連続で2兆円を下回った。
  • 上昇銘柄数は881、下落は989
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