東芝メモリー事業売却でWDと詰めの交渉、課題は山積-関係者

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Kiyoshi Ota/Bloomberg
Kiyoshi Ota/Bloomberg

東芝が早期契約を目指すメモリー事業の売却交渉は、最終局面まで予断を許さない状況が続いている。関係者によると、東芝の株主や投資家保護の観点からも上場廃止を避けたい主要取引銀行が月内の契約締結を求めているが、合弁相手の米ウェスタンデジタル(WD)陣営との間には契約をめぐる両社の主張の相違点解消という課題を残している。

  交渉が非公開であることから匿名を条件に語った複数の関係者によると、東芝は現在、WDや米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などと交渉を進めており、主要取引各行は31日までに契約を締結するよう東芝への圧力を強めている。

  東芝は6月、産業革新機構を中心とした「日米韓連合」を優先交渉先に決め交渉を進めていたが、WDとの係争解決を絶対条件としていた同連合に対し解決策を示せず、交渉は暗礁に乗り上げていた。同関係者によると、東芝はこれまで、上場廃止の可能性があっても、銀行側は日米韓連合との交渉で一定の時間的な猶予を与えてくれると受け止めていたという。

  両社の間にはあと4日では解消できない課題が山積。東芝は国際仲裁裁判所に求めていたメモリー事業売却差し止めの申し立てを完全に取り下げてほしいと主張するが、WDはいったんは取り下げても再度問題が発生すれば再度申し立てを行うとの含みを残している。東芝は3月までにメモリー事業の売却が完了しなければWDへ違約金を請求したいとしているが、WDはこれに合意していないという。さらに、合弁事業への影響力を強化するため、WDは東芝に契約条件の変更も求めている。

過半数以下に

  東芝は、WDが売却先に決まった場合の同社の関与にも神経をとがらせている。WDは各国の独占禁止法の審査を通りやすくするため、出資ではなく転換社債という形を取りWDには過半数の議決権を持たせない方向。WD陣営による買収額は約2兆円になる見通し。
  東芝の綱川智社長は10日の会見でWDや鴻海精密工業とも並行して交渉を進めていることを明かし、特にWDについては良好な関係への回復に期待感をにじませていた。現在来日中のWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は対立を解消するためにこれまでに何度か綱川氏と会談。関係者によると、綱川氏は株主や銀行の意向に配慮してWDとの契約締結に前向きなものの、子会社東芝メモリの幹部らは難色を示しているという。

  東芝広報担当の石橋斉史氏は綱川氏とミリガンCEOによる協議について「個別の面会にはお答えしていない」とし、売却契約の詳細についてもコメントを控えた。

  東芝は今年4月にメモリー事業を分社化し、東芝メモリを設立。2018年3月末までに同社を売却することで得られる売却益で2期連続の債務超過を避け、上場廃止を阻止したい考えだ。

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