コーン氏でもイエレン氏でも大差なし-債券市場がみる米金融政策軌道

  • 根強い低インフレが米国債利回り上昇を抑える-投資家らの見方
  • ゴールドマン前社長のコーン氏、次期FRB議長の有力候補

債券トレーダーらは、来年2月に任期満了となるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任が誰であろうと、米金融政策の軌道は大して変わらないとみている。

Bloomberg

国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏

  エコノミスト調査によれば、後任候補の最有力は国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏。同氏がトランプ大統領の白人至上主義者への対応を巡り辞任するとの臆測が浮上した今月半ば以降、相場は混乱したが、NEC委員長の辞任はないことが明らかになると、市場は落ち着きを取り戻した。

  ゴールドマン・サックス・グループ前社長のコーン氏をトランプ大統領が指名しようが、イエレン氏が再任されようが、計1兆ドル(約109兆円)余りを運用する投資家らはバランスシートの段階的縮小と利上げという米金融政策の今後の道筋に大きな変更があるとはみていない。その見方に沿って、14兆1000億ドル規模の米国債市場では少なくとも中立的な姿勢で投資を行っている。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長

Photographer: Zach Gibson

  Tロウ・プライス・グループのインフレ重視戦略のポートフォリオマネジャー、スティーブ・バートリニ氏は「コーン氏が率いるFRBでもイエレン氏のFRBでも大して違いはないだろう」と語る。債券2040億ドル相当を運用する同社はそうした見方や成長・インフレ見通しを背景に、「7-9月期に入るに当たり、ポートフォリオはデュレーション長期化に一段と集中している」と説明した。

  昨年の米大統領選で共和党候補者だったトランプ氏は、オバマ政権を利するために低金利を維持しているとしてイエレンFRB議長を批判した経緯がある。このためトランプ氏が当選すれば、次期議長にはタカ派の人物を指名するとの臆測が浮上したが、同氏の現政権は減税やインフラ投資拡大、輸出促進を目指しており、ドル上昇につながる利上げはマイナスに働く可能性がある。

  このため債券投資家は、こうした経済政策の目標を政権の一員として共有するコーン氏が引き締め政策で漸進的アプローチを取るとみている。トランプ氏は先月、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで政策金利の低水準維持を望むと発言。イエレン氏をFRB議長に再指名する可能性がある一方で、コーン氏も有力候補だと述べた。

  米10年債利回りは2.17%前後と、年初来の低水準付近。昨年12月には2.64%と、2014年以来の高水準に達していたが、米国の低インフレは根強く、賃金の伸びも鈍いため、同水準が当面のピークとなりそうだ。

  PGIMフィクスト・インカムの最高投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「われわれの基本シナリオは、10年債利回りが2ー2.25%のレンジで当面推移する傾向にあり、このレンジがいずれは上方よりも下方に向かう公算が大きいというものだ」と指摘。次期FRB議長がハト派である可能性が高いとの見方もあり、米金融政策の「サイクルは最終段階にかなり近い感じがある」とも述べた。

原題:Cohn or Yellen? Bond Managers of $1 Trillion Say Same Difference(抜粋)

  

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