JFEHD:収益力強化へ高級鋼の比率拡大、設備投資で生産体制確立

  • 約7割を占める高級鋼の生産比率を引き上げていく方針
  • 来期からの新中計では高級鋼の増産体制構築が重要課題の一つに

JFEホールディングスは、付加価値の高い鋼材の生産比率を拡大する方針だ。自動車用鋼板や油ガス田向け鋼管といった利益率の高い高級鋼をより多く生産できる体制構築に向けた設備投資を実施し、市況に左右されにくい収益力の強化を図る。来期(2019年3月期)からの次期中期経営計画で重要課題の一つに位置付ける。

  岡田伸一副社長が25日のインタビューで「どこでも生産できるような製品に収益を依存するのは問題がある。他国が造れない製品にシフトしていかなければ今後の競争上厳しくなる」との考えを示した。傘下の鉄鋼子会社JFEスチールが生産する鋼材の約3割を汎用(はんよう)品が占める。目標数値についての言及は控えたが、約7割を占める高級鋼の生産を増やすことで汎用品の比率を下げていく方針だ。

  手段としては海外の出資先拠点を活用する。例えば、JFEスチールが5%出資し、技術供与も行うベトナムでの一貫製鉄所。5月に操業を開始したが、今後生産量の拡大に伴いJFEスチールが国内で生産している汎用品の一部の生産を移管する。余力の出た国内製鉄所の生産ラインに必要な設備投資を行い、高級鋼の生産を拡大する。

  また、アラブ首長国連邦(UAE)では原油や天然ガスの輸送に使う大径鋼管(直径最大約1.4メートル)の合弁工場が18年に稼働予定。米鉄鋼最大手ニューコアと合弁でメキシコに設立する自動車用鋼板の工場も19年に稼働を予定している。需要家の海外展開に合わせた現地工場への投資も進めていく考えだ。

高水準の設備投資継続へ

  JFEHDは今期(18年3月期)までの3年間で6500億円の設備投資を計画。鉄鋼原料となるコークスを生産する炉など、老朽化した設備の更新を中心に進めてきた。製造コスト低下につながる設備投資が一段落することで、来期からの次期中計では、自動車用鋼板やエネルギー向け鋼管などの高級鋼生産、普及が見込まれる電気自動車(EV)への対応に向けた設備投資を強化する方針で「高水準の設備投資額は続く」という。

  今期の連結経常利益見通しは前期比2.4倍の2000億円。主力の鉄鋼事業は同3.7倍の1500億円への回復を見込む。ただ、4-9月期の全体の経常利益率(ROS)は5.9%にとどまる見通し。中計で定めた今期末の目標は10%。原油価格の低迷などを背景に、油ガス田開発向けの鋼管などの「稼ぎ頭の高スプレッド製品の回復がまだ良くない」ことが収益率低迷の要因にもなっている。

  一方、輸出市況に影響を及ぼす中国の熱延鋼板のスポット価格は4年5カ月ぶりの高水準にまで上昇している。「秋の共産党大会に向けて中国の国内景気は堅調な推移が見込まれ、内需が強く鋼材価格はどんどん上がっている」と指摘。「価格が上がっていくことはわれわれにとってもプラスだが、持続性については慎重に考えないといけない」との見方も示した。

  JFEHDは、鋼材販売価格から原材料費を差し引いたマージンである鋼材スプレッドが下期に上期比で100億円改善するとの前提を置き、9月末までに1年前と比べて鋼材価格1トン当たり2万円の値上げを目指す。合金鉄など副原料の価格も上がっているとして「不退転の決意でお客さまにお願いしており、今後も続けていく」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE