イエレン、ドラギ、黒田3氏のジャクソンホール予定と課題
Jeanna Smialek、Michael McKee、Alessandro Speciale米ワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウムでは、多くの著名な中銀トップに交じって、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長と欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、日銀の黒田東彦総裁の3人もウエスタンスタイルの服装で、世界経済の問題に頭をひねる姿を見せるだろう。

黒田日銀総裁
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
3人が同シンポにそろって参加するのは2014年以来。またトランプ大統領が続投を望まない限り、イエレン氏がFRB議長としてシンポに参加するのは今回が最後になる。専門家の多くはトランプ大統領は別の人物を指名すると予想している。
以下は今年の主要参加者の講演予定と、それぞれが直面している主な政策課題(日時は米東部時間)。
- イエレンFRB議長
- 講演は25日午前10時(日本時間同日午後11時)開始予定
- 米インフレ率は力強い雇用の伸びとこの16年で最低の失業率にもかかわらず、FRBの目標である2%を大きく下回っている。米政策当局者は懸念の必要はないとしながらも、資産価格や金融情勢について語ることが多くなっている。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は9月19、20両日に開催される。イエレン氏の任期は来年2月に切れるため、同氏の今後も話題に上る可能性がある
- ドラギECB総裁
- 講演は25日午後3時(日本時間26日午前4時)の予定
- ユーロ圏の景気回復の勢いは年初以来増しており、当局者は大規模資産購入などの非伝統的政策からの来年の出口戦略について、今秋から協議を開始すると公言している。ドラギ総裁が2兆3000億ユーロ(約300兆円)規模の債券購入プログラムの下地作りをしたのは3年前のジャクソンホールだった。しかし欧州のインフレ率はなお目標に届かず、ユーロ上昇でさらに押し下げられる可能性もある。ECB政策委員会は来月7日開催予定
- 黒田日銀総裁
- プログラムの講演者リストには入っていない。しかしシンポ参加者は議論中にコメントでき、発言内容は記録される
- 特にインフレ率が目標を下回る水準にとどまっているため、金融政策の正常化は何年か先になりそうだ。黒田総裁の任期切れは来年4月
- ブロードベント・イングランド銀行(英中央銀行)副総裁
- 講演者リストにない
- 英中銀は今月3日に政策金利を過去最低の0.25%に据え置いた。カーニー総裁は英国の欧州連合(EU)離脱が英経済見通しへの最大のリスクになっていると指摘した。英国は貿易協定も含め、2019年3月までに離脱交渉を終えなければならない。英国ではインフレ率が目標を上回っており、英中銀はインフレへの対応が最終的には必要になるとしている
- 米国からの他の主要参加者
- ブレイナードFRB理事
- パウエルFRB理事
- ダドリー・ニューヨーク連銀総裁
- 欧州からの他の主要参加者
- クーレECB理事
- ラウテンシュレーガーECB理事
- バイトマン独連銀総裁
- ヨルダン・スイス国立銀行総裁
- 中南米からの主要参加者
- カルステンス・メキシコ中銀総裁
- アジアからの主要参加者
- 陳徳霖(ノーマン・チャン)香港金融管理局総裁
原題:Watch These Top Headliners at the Fed’s Jackson Hole Conference(抜粋)
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