米議会の債務上限引き上げ計画が複雑化、大統領の「政府閉鎖」発言で

  • トランプ大統領は壁予算盛り込まねば歳出法案への拒否権行使と示唆
  • 政府閉鎖回避には議会は9月30日までに歳出法案を可決する必要

トランプ大統領

Bloomberg

トランプ米大統領が22日、国境の壁建設予算の確保のためなら10月に政府閉鎖も辞さない意向を示すと、米議員の間に懸念が広がった。これにより、議会が連邦債務の法定上限を引き上げるプロセスが複雑化する可能性がある。

  政府閉鎖を避けるためには米議会は9月30日までに歳出法案を通過させる必要がある。そして議会は同時に、債務上限引き上げの期限を迎える。共和党指導者らはまだ具体策を決めていないものの、有力なシナリオの一つはこれら2つの措置をまとめて大統領に送付するというものだ。

  トランプ大統領の政府閉鎖発言は交渉の際によく用いるはったりの一つの可能性もあるが、大統領が実際にこれを推し進めると決めれば、市場の動揺を招きかねない対決の可能性は高まる。

  トランプ大統領はこの数カ月、5月に超党派で成立にこぎ着けた歳出法にメキシコ国境の壁建設予算が盛り込まれたなかったとして、不満を表明してきた。大統領は、民主党の譲歩を引き出すために「良い」政府閉鎖が必要かもしれないとツイートで述べることさえあった。

  ライアン下院議長は23日、「政府閉鎖が必要とは私は思わないし、われわれも含めてほとんどの人が政府閉鎖を見たくないだろう」とオレゴン州ポートランドのインテル施設での記者会見で発言。秋に歳出予算を完成させるにはまだ時間が必要なため、議会は短期の暫定予算法案が必要になる可能性が高いと述べた。

  トランプ大統領は壁建設費用として16億ドル(約1750億円)の予算計上を求めているが、民主党は概して反対だ。下院は壁建設予算を盛り込んだ包括的歳出法案を可決したが、上院では通過に必要な議員60人の支持には届いていない。そしてトランプ大統領は壁予算を含まない歳出法案には拒否権を行使すると示唆している。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替戦略グローバル責任者、マーク・チャンドラー氏は23日のリポートで、トランプ大統領の発言は「不安を喚起する」と指摘。「もちろん過去にも米政府閉鎖は起きており、通常はそれほど大きな打撃とならない」としながらも、「投資環境には良くない」と説明した。

  チャンドラー氏はまた、これに債務上限を巡る対立が絡んでくれば、さらにリスクは増すとし、「政治的駆け引きは政府閉鎖につながり得るが、債務支払い不能はいっそう深刻な問題であり、概して共和党内の瀬戸際政策の駆け引きにおいて、どちらの側もリスクを冒したくない問題だ」と指摘した。

  仮に9月に暫定予算法案が議会を通過してトランプ大統領が拒否権を行使すれば、税制改革案など大統領の一段と広範な政策課題にも悪影響が及ぶ可能性があると議会指導者は憂慮する。だが、議会スタッフと政権外の共和党員は、大統領が拒否権行使もいとわない可能性があると懸念している。トランプ大統領が22日に政府閉鎖発言をする前から、ゴールドマン・サックス・グループは顧客に対し、政府閉鎖の確率が50%あると警告していた。

原題:Trump Shutdown Threat Complicates Congress’s Debt Ceiling Plans(抜粋)

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