経済成長続く今が財政再建の好機、消費増税を-経済同友会の小林氏

  • 消費増税10%は予定通りに行い、長期的に持続可能な社会へ
  • 債務残高対GDP比の重視は日銀の出口政策を困難に

消費税を上げ、財政再建をー。経済同友会代表幹事を務める小林喜光氏(70)からの政府への提言だ。

  三菱ケミカルホールディングス会長の小林氏は22日のインタビューで、足元の日本経済は好調だとし、財政再建は「こういういい時にやらないとやる時がない」と主張。中長期の財政再建への現実的な道筋が描かれないまま債務が国内総生産(GDP)の2倍を超えて増え続ける状態は異常で、放っておけば「日本が成り立たなくなる」と述べた。

小林喜光氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg *** Local Caption *** Yoshimitsu Kobayashi

  2度延期されている10%への消費税引き上げは、予定通り2019年10月に行うべきだという考えだ。国民に対して「収入が減ると社会保障もこんなことしかできませんよという問いかけをむしろするべき」だとし、収入の範囲でやりくりするという「家計でやっている当たり前のことが国家ではやられてない。みんなのお金になると俺にもほしいとなる」と話した。

  小林氏は、歳出を通じて選挙に勝とうとする政治につながっていることが問題の本質だと指摘。「われわれはぎりぎりセーフで逃げられるかもしれない」が「こっちが勝手なことをやって、みんな若い人に負荷がかかっている」と述べ、財政悪化で割を食うのは次世代と話した。小林氏自身も3人の子供と5人の孫を持つ。

  日本経済は11年ぶりの6期連続成長を記録し、失業率などは改善傾向にある。ただ東京都議選で自民党が大敗し、安倍晋三政権の内閣支持率が急落した際には、政府・与党の一部から積極的な財政出動を求める声が上がり、消費増税凍結か5%への引き下げや2020年度基礎的財政収支(PB)黒字化目標の撤廃を求める意見も出た。

  小林氏は安倍政権の経済政策に一定の評価を与えるが、政治は短期的な支持率の回復に固執するのではなく中長期的な視点で財政規模に見合った社会保障の姿を国民とともに議論すべきだと指摘する。

成長の果実

  政府が6月、PB目標と併記する形で債務残高対GDP比を財政健全化目標としたことにも批判的だ。債務対GDP比の削減は金利が低位で推移するほど達成しやすい。GDPが拡大すれば比率は下がるが、債務残高自体は増えるということが起こりうるからだ。

  小林氏はPBの黒字化が達成されれば債務残高対GDP比は低下していくにも関わらず、2つの目標を併記したことに違和感があるという。現在の低金利は日本銀行の異次元金融緩和によって支えられており、小林氏は債務残高対GDP比を重視することは、利上げを伴う金融緩和からの出口政策を実施してはいけないと「政府が日銀に言っているようなもの」だと述べた。

  一方、日銀の金融緩和が円安を支え、企業の世界での競争力や収益を押し上げているのも事実だと小林氏は述べた。企業は労働者へも経済成長の果実を届けるべきだとし、賃上げに関して「まだ努力できる部分はある」と指摘した。

  2015年に代表幹事に就任した小林氏は、経済同友会発足と同じ1946年生まれ。2014年に消費税を8%に引き上げた際には、経済財政諮問会議の民間議員として増税を進めた。同友会が70周年を迎えた16年には、45年までの日本の課題を取りまとめた「Japan2.0 最適化社会に向けて」を発表し、財政健全化を柱の一つとして位置付けた。

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