郵船:自動運航に挑戦、19年に太平洋上で実証実験へ-世界に先駆け

  • 船舶機器メーカーや通信サービス会社と協力して技術開発へ
  • 郵船の主導で世界標準化を目指す-海運業で次世代技術の主流に
The Nippon Yusen KK NYK Rumina container ship sits berthed at a shipping terminal in Tokyo, Japan, on Monday, Oct. 31, 2016. Japan's three biggest shippers agreed to spin off their container operations and merge them to create the world's sixth-largest box carrier as the global container-shipping industry continues to shrink. Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Kiyoshi Ota / Bloomberg

国内海運最大手の日本郵船は大型船舶を国際航路で自動運航する実証試験を2019年に開始する計画だ。公海上の試験航海は世界初となる。同社がまとめ役となり、船舶関連機器メーカーや通信サービス会社などと共同で衝突回避の安全運航に向け技術開発を目指す。

  郵船の完全子会社MTIで自動運航技術開発を手掛ける安藤英幸船舶技術部門長は、実験船は大型コンテナ船などが候補とし、「万一に備え船員が搭乗した上で、見張り機能の自動化、さらに陸上基地からの遠隔操作と段階的に進め、最終的に完全な自動運航に移行する計画だ」と明かす。船舶数が比較的少ない太平洋上が有力で、現時点で日本から北米への航路を想定しているという。

  郵船の航海チームの桑原悟チーム長は、これまで熟練船員の感覚頼みの操船業務を膨大なデータとして蓄積し、解析を通じて機器の自動化や安全性向上につなげる流れはできつつあると語った。その上で、「自動運航により安全な航海と労務の軽減が可能になる」とし、今後は郵船の主導で技術の世界標準化を目指すと述べた。桑原氏は国土交通省が支援する研究開発事業「船舶の衝突リスク判断と自律操船に関する研究」のプロジェクトリーダー。

日本郵船のコンテナ船

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  自動運航を目指す船は、自動車に比べ巨大で重い。操船、船体管理、エンジンメンテナンスなど作業も複雑になる。エンジン出力なども自動車に比べ大規模で緻密な管理が必要だ。郵船は既に自動運航を含む技術開発に関連したMTIを設立し、造船会社のほか航海・船舶電子機器など計15社の出向者などで多くの分野で自動制御に向けたシステムなどの開発に取り組んでいる。

  自動化への技術開発は今後、一層の競争激化が見込まれる。英ロールス・ロイス・ホールディングスは35年までに無人船の公海運航に向け試作品の開発を進め、20年にも遠隔操作船の試験運転を目指すと発表。ノルウェーのヤラ・インターナショナルは18年から公海ではないが同国沿岸で自律航海可能なコンテナ船運用を始め、19年に遠隔操作に移行すると発表済み。国際運航する外航船と国内の内航船では船の構造や船員教育が異なり、公海では国際法順守などの取り決めがある。

  国内での競合する、商船三井は三井造船と共同で、また川崎汽船は自動運航の技術開発を進めているが、それぞれ実証実験について具体的に発表していない。

  政府は日本再興戦略に基づいた「未来投資戦略2017」で、自動運航船の実用化に向け最先端のデータ伝送技術を活用するなど、25年までに先進船舶250隻程度の導入を目指している。国交省は大型船舶を使った自動運航の実験などで着実な導入を進める方針で、環境整備として、自動運航の船内機器のデータ形式など日本案の規格を国際統一として採用されるよう働きかける意向だ。

  シティグループ証券の姫野良太アナリストは、コンテナ船事業は国内3社が統合しても世界シェア7%程度と指摘、「次世代の海運業の主流になるであろう自動運航技術では存在感を示してほしい」と述べた。その上で、情報技術(IT)・先端技術の開発・導入ではコンテナ船事業で郵船が既に成功し、株式市場でも評価されており、「メーカーではなくオペレーターの立場からの知見を生かし、業績に直結する技術と認知されれば市場ではポジティブに評価される」との見方を示した。

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