MiFID2の意図せざる影響-アナリスト明暗、ロンドン凋落も

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  • 英国で右側通行の運転に突然変わるようなものだとウォルシュ氏
  • 米欧のファンド運営会社はリサーチ予算を3億ドル削る可能性が高い

欧州連合(EU)の金融・資本市場の包括的な規制、第2次金融商品市場指令(MiFID2)の来年1月の施行まで5カ月を切る中で、銀行や資産運用会社は、利益よりも多くの害を金融業界にもたらす恐れのある全面的な規制見直しへの対応を急いでいる。

  より公正な市場と透明性の改善を目的とするMiFID2は、トレーディングからリサーチ提供の在り方に至るまで、あらゆる分野に影響する。しかし、数百ページに及ぶ規則の中には、監督当局が十分に考えたことがない諸問題が隠されていると実務家は懸念を抱く。

  ノーザン・トラスト・キャピタル・マーケッツでエクイティービジネスの開発を統括するジェラード・ウォルシュ氏(ロンドン在勤)は「MiFID2のバブルは痛みを伴う。英国で右側通行の運転に突然変わるようなものだ。混乱が生じると予想されるが、人々はやがて順応するだろう」と指摘する。

MiFID2とは-QuickTake

  MiFID2を巡っては、資産運用会社が銀行などに支払う取引手数料と銀行側の投資リサーチ費用の切り離しが義務付けられる点などが、最も議論を呼んでいる。直接の影響としては、バイサイドがより鋭い選択眼を持つようになることで、リサーチ関連の支出が減少する恐れがある。グリニッチ・アソシエイツの調査結果によれば、米国と欧州のファンド運営会社はリサーチ予算を3億ドル(約328億円)余り削る可能性が高い。

  さらに米国では投資顧問として登録しない限り、リサーチ費用を別途請求することが禁じられているため、ウォール街の銀行は米国のリサーチを欧州の顧客に売ることができなくなる見通しだ。

アナリストの雇用は明暗分かれる

  リサーチ需要の減少は、アナリストに対する需要も減ることを意味するだろう。セルサイドの銀行上位10行はリサーチに年間約40億ドルを費やしているが、MiFID2の適用後は支出が30%圧縮されるとマッキンゼーは予測。その一方で、シュローダーなどの資産運用会社は、MiFID2の影響を緩和するために内部のリサーチチーム強化に動いており、少数のラッキーなアナリストにとっては、良い面もないわけではない。

リサーチ専門会社で独立も

  銀行がアナリストを減らすことが見込まれる状況では、各業界分野でのランキングがトップ3か4位までに入らないチームが、丸ごとトレーディングフロアから一掃されることもあり得る。ノーザン・トラストのウォルシュ氏は、そのようなチームが独立し、専門化した家内工業的な会社の設立に加わるのではないかと考えている。それはランキングが低いリサーチャーだけの話ではない。関係者によると、英銀バークレイズのニューヨーク在勤のアナリスト3人が退職し、専門会社をスタートさせた。

ロンドンはさらに魅力失う

  ロンドンは英国の欧州連合(EU)離脱に伴う影響への対応を既に迫られているが、MiFID2施行後は、海外の投資運用会社によるビジネス遂行がより困難でコストもかさむことになり、魅力をさらに失うことになりかねない。法律事務所デカートのパートナー、ピーター・アストルフォード氏は「ニューヨークとボストン、香港、シンガポールの魅力が増すだろう」と話している。

原題:Unintended Consequences of MiFID: Job Losses, Trade Turmoil? (1)(抜粋)

(アナリストが専門会社を設立し、独立する可能性について追加して更新します.)
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