【FRBウオッチ】利上げは風前の灯火、増幅する低インフレリスク

  • インフレ目標未達をリスクシナリオとする政策当局者が半数以上に
  • インフレ目標2%、消費者物価の超長期トレンドチャネルの圏外に

米連邦公開市場委員会(FOMC)は年内もう一度の利上げをなお模索しているが、その鍵は今後の物価動向が握っている。議事録によれば、7月のFOMCでは「大部分(most)の参加者はインフレ率が今後2年にわたり上昇し、中期的に目標の2%前後で安定するとの予想を維持」し、年内もう一度の利上げを想定している。これがメインシナリオである。

  その一方で、「インフレ率がいま見込まれているよりも長い期間にわたり2%未満にとどまる一定の可能性がある」との認識を「多くの参加者」が示したという。議事録の原文では「多くの参加者」は"many participants"と記述され、全参加者の「半分をかなり上回る」政策当局者が長期間にわたり、FOMCの政策目標である2%のインフレ目標に届かないリスクがあると認識していることになる。

  「インフレ率は中期的に緩やかなペースで目標の2%に上昇する」とするFOMCのメインシナリオに対して、リスクシナリオに傾く参加者が増え、議論が白熱してきた。

  インフレの先行きに対する議論がFOMC内で盛り上がる中で、データは慎重派に軍配を上げつつある。FOMCがインフレ目標の基準とする個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比は今年2月の2.2%上昇をピークにして、4カ月連続で水準を下げ、6月には1.4%上昇にまで落ち込んできた。

  トレンドチャネルのインフレ率上限は今年末に2%に下がり、その後も予見可能な将来において下降トレンドに変化はないだろう。連邦準備制度理事会(FRB)が創設された1914年までさかのぼれる消費者物価指数(CPI)を用いて俯瞰(ふかん)すれば、80年を境に超長期下降トレンドに移行してきたことが見て取れる。

  バーナンキ第14代FRB議長は大恐慌を集中的に研究して、大規模な金融緩和とインフレ目標をデフレ克服の切り札としてきた。しかし、80年以上も前の強い成長を前提にした政策は、現在の低成長時代にはそぐわない。現行のインフレ目標を続ける限り、利上げは遠のくばかりだ。

(【FRBウオッチ】の内容は記者個人の見解です) 

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