東芝と米WD、打開の糸口見えず、メモリー売却が暗礁に-関係者

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  • 両社幹部が先週末、東京で協議も合意に至らず-法廷闘争問題
  • 東芝、3月までの売却完了に暗雲、上場廃止基準に抵触のリスクも

東芝が債務超過解消のために進めているメモリー事業売却は、合弁相手の米ウェスタンデジタル(WD)との間で抱える法廷闘争問題が解決できず暗礁に乗り上げている。両社首脳は打開策を巡り協議したが、進展はないもようだ。複数の関係者への取材で明らかになった。

  交渉が非公開であるとして匿名を条件に語った複数の関係者によると、WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は先週末、東京で東芝の綱川智社長と会談。しかし合意に至らなかった。東芝側は提訴の取り下げを求めている一方、WDは結果的に競合相手に売却されるリスクがあるとして提訴を取り下げることはできないと主張。意見が対立している。

  東芝は優先交渉先として米ベインキャピタル産業革新機構などの日米韓連合を選び、6月下旬までに売却契約を結びたい意向だったが、係争解決まで買収資金は支払えないとの立場の同連合との協議が難航している。このため、東芝の綱川社長は年度内の売却完了を目指し、WDと米ファンドKKRの陣営などとも売却交渉を進めていることを明らかにしていた。

  東芝は東京証券取引所の上場廃止基準の一つである2年連続の債務超過を回避するため、年度内の売却を急いでいる。一方、WDにとっては記憶容量の拡大競争激化など、半導体ビジネスで生き残るためには、東芝と合弁運営してきた日本での事業が今後も必要として自らが買収を優位に進めたい考えで、両者の意見はかみ合っていない。

  東芝は4月にメモリー事業を分社化して東芝メモリを設立、同社の売却資金を米原発事業の失敗で陥った債務超過の解消に充てる計画だ。しかし、メモリー事業の合弁相手であるWDは東芝メモリの第三者への売却は合弁契約に違反するなどとして、国際仲裁裁判所に売却の差し止めを申し立てている。

  ある関係者によると、WDの扱いについては東芝幹部の間でも意見が割れている。局面打開に向け水面下で日々の協議に臨んでいる担当者には、訴訟を取り下げないままのWDの姿勢が敵対的買収者と映る。これに対して綱川社長はもっと好意的な態度であるという。

  東芝が10日に監査法人から「限定付き適正」ながら評価を得た2017年3月期決算は、最終赤字が製造業として過去最大の9657億円。債務超過額は5529億円に上った。一方、半導体事業の好調が寄与し4ー6月期の営業利益は過去最高を記録した。これまでの売却手続きでは韓国半導体大手SKハイニックスも参加する日米韓連合は約2兆1000億円の買収額を提示している。

(第5-7段落を追加しました.)
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