南都銀が外債800億円減へ、金融庁規制先取り-なお魅力的で「頭痛い」

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  • 足元は円建てオルタナティブなどを買い増している、と大西執行役員
  • 本店にあった市場部門が13年ぶりに東京に進出、情報収集能力が向上

外債投資残高で地銀4位の実績を持つ南都銀行が、金融庁の新たな規制への対応を急いでいる。外債リスクがより厳しく見積もられるようになるため、残高を大幅に圧縮する方針だ。日本銀行のマイナス金利政策の下では外債は相変わらず「魅力的」で、運用担当者を悩ませている。

  奈良県を地盤とする南都銀の大西知巳執行役員市場運用部長は「新規制の正式導入は2019年3月末だが、試行実施に合わせて18年3月末までに外債を約800億円落とす」と8日説明した。それにより、同行有価証券残高で25%を占める外債比率を20%に圧縮できるという。同行は約15年前から外債投資の妙味に注目し、米国債を中心に米エージェンシー債、ドイツ、フランスや欧州周辺国の国債に投資を続けてきた。

  金融庁は6月、地銀の債券保有に対する規制強化案を公表。金利変動時の損失を自己資本の20%以内に収めるよう求める内容で、外債に円債より高いリスクウエートを設定した。一方で、金融機関の自主性を尊重する立場から、基準を上回っても直ちに「過大なリスクテークを行っているとは見なさない」とも明記し、個別に対応を判断するとしている。

  有価証券報告書によると、南都銀の16年9月末の外国証券残高は4718億円と地銀64行の中で4番目に多い。国債などを含む全有価証券残高の14位と比べて外債の突出ぶりが分かる。金融庁は、低金利下で収益を上げるため、高リスクの外貨建て商品に手を出す地域金融機関が増えることを警戒するが、大西氏は「納得のいかないものは買わない」と断言する。

investment portfolio

  日銀のマイナス金利導入により、国債が中心だった地銀の運用戦略が転機を迎えている。南都銀も例外ではなく、16年9月末時点の国債保有残高は6813億円と有価証券全体の38%を占めていた。大西氏は国債償還に当たっての再投資で「国債は収益確保が難しく、もうあまり考えていない。円債よりドル債やユーロ債に投資した方がまだ優位性が残っている」と指摘する。

  一方で、新規制に対応して外債残高を減らすため、単純な買い増しはできない。大西氏は「外債を計画の800億円より多めに売って、ほかの外債も含めて入れ替える計画。年限、リスク量を考えて機動的にやっていく」と話す。足元では円建てオルタナティブなどを買い増しているという。大西氏は「金利リスクは抑えるが、それをどこに持っていくかに今一番頭を痛めている」という。

人員増を検討

  同行は厳しい市場環境に順応するため、運用力を磨いてきた。約2年前から満期保有を中心とした運用戦略を見直し、流動性を重視した「バイ・アンド・セル」戦略を開始した。16年1月には橋本隆史頭取の即断で、本店にあった運用部門を13年ぶりに東京に再進出させた。情報収集能力が格段に上がったという。

  新たな規制は同行にとって、より運用力を高める機会となっている面もある。大西氏は「基準が決まったならそれに合わせて運用するのがわれわれの仕事。商品の幅を広げるためには、自分たちのリスク分析力を高めなければならない」と意気込む。現在は、個々の商品の厳選に加えて、ポートフォリオ全体のリスクの傾きをどう把握するかに注力しているという。その対応もあり、運用部門担当者を現在の23人から5人程度増員することを検討している。

(第8段落に人員増検討について追加して更新します.)
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