【インサイト】総選挙控えるドイツ経済、足元は堅調も今後は減速か

米国や英国では昨年、ポピュリスト(大衆迎合)旋風が吹き荒れたが、オランダとフランスの選挙でその流れに歯止めがかかった。9月に行われるドイツの総選挙でもポピュリストが台頭する可能性はほとんどない。メルケル首相は4期目を務める公算が大きく、不透明感が強いのは連立政権のパートナーがどこになるのかだ。ドイツ経済に目を転じると、その全体像はほぼ変わらない。成長率は力強いが、向こう数四半期で鈍化が見込まれる一方、賃金上昇率は当面伸び悩みが続く見通しだ。

  ドイツの総選挙が経済指標に顕著なインパクトを与える可能性は低い。調査ベースのデータは全般的に7-9月(第3四半期)の速い景気拡大ペースを示唆している。購買担当者指数(PMI)は低下しており、モメンタムが幾分鈍ったことを示している。BIエコノミクスは7-9月の国内総生産(GDP)成長率が0.5%に鈍化し、10-12月(第4四半期)には0.4%へと減速すると予想している。

  このように予想するのはなぜか。センチメント以外では景気の大きな支援要因が雇用の増加となっており、雇用できる人材はそれほど多く残っていない。7-9月の失業率は平均3.8%にとどまると見込まれる。

  ドイツでは少なくとも当面、賃金上昇率の伸び悩みが続く見通しだ。今年の労使間の賃金交渉で労組側がこれまでよりずっと良い結果を得られると楽観できる要素はなく、基調的なコスト圧力が目先に強まる可能性は非常に低い。

  今後の見通しとしては、ドイツ経済は安定したインフレと一致した景気の水準をやや上回っている。ユーロは対ドルで若干上昇するとみられ、今後の純輸出の足かせとなりそうだ。成長率がトレンドを幾分下回る水準に鈍化するにつれて、景気はより持続可能な水準に戻ることになろう。

  この見通しに対するリスク要因として財政政策が挙げられる。BIエコノミクスは2017年の政府支出の伸びが全体的に鈍化すると予想している。昨年は移民関連の支出が大きく伸びていた。このため、財政スタンスがGDP成長率見通しに大きな影響を及ぼすとはみていないが、インフラ投資向けの追加支出を中心に財政政策を緩めることになった場合、需要はさらに喚起されることになる。

  BIエコノミクスはメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が9月の総選挙に勝利すると予想しているが、連立相手は必要になるだろう。財政政策と他の欧州連合(EU)加盟国との関係に対するインプリケーションはCDUがどのパートナーを選ぶかにかかってくるだろう。

  BIエコノミクスは今後5年間でドイツ経済のある程度のリバランスを見込んでいる。ユーロ高が続けば、輸出入の相対的な価格に影響を与え、純輸出が成長の軽度の足かせとして作用することになる。消費と投資支出の対GDP比は若干上昇する公算が大きいが、それほど大きな伸びにはならないだろう。中期的には、ドイツの人口高齢化やそれに伴う労働力の縮小でGDP成長率の鈍化が見込まれる。

原題:GERMANY INSIGHT: Economy Running Hot, Politics Cooling Off(抜粋)

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