東芝のメモリー事業売却交渉、支払時期など巡り失速-関係者

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東芝が債務超過解消のために進めているメモリー事業の売却交渉が失速している。優先交渉先の米ベインキャピタル産業革新機構から成る日米韓連合との協議が、払い込み時期などの条件を巡り行き詰まっている。関係国の独禁法当局による審査期間などを考慮すると、8月下旬から9月上旬が契約締結のリミットとなる。

  交渉が非公開であることから匿名を条件に語った複数の関係者によると、買収代金の払い込みについて、日米韓連合は合弁相手の米ウェスタンデジタル(WD)との係争の解決を条件としている。しかし東芝とWDとの対立は解消していない。こうした中、当初から買収先の有力候補だった米ファンドKKRもWDと組んで再協議に入るなど交渉は複雑化している。

  東芝は10日に監査法人による「限定付き適正」意見ながら、2017年3月期の有価証券報告書をようやく提出し、ひとまず決算を巡り上場廃止になる事態は回避した。しかし、別の廃止基準である2期連続の債務超過を防ぐ必要があり、そのためには売却先から来年3月末までに実際に払い込みを受けなければならない。

  これまでの交渉では、日米韓連合の一角で当初は融資で参加するはずだった韓国半導体大手SKハイニックスが将来的な議決権を要求したことなどで、契約内容を詰めるのに時間を要していたことも分かっている。

米WD、鴻海陣営とも交渉

  関係者によると、東芝は複数の戦略により期限内の売却完了を目指すとともに、上場廃止も想定した対応の準備を始めている。一方で東芝は合弁する四日市工場での将来的な事業へのアクセス阻止などでWDに訴訟を取り下げるようプレッシャーをかけながら、次善策として鴻海精密工業などとも並行して交渉を進めている。

  東芝の綱川智社長は先週の会見で、目標としていた6月下旬までに合意に至らなかったことを理由に、日米韓連合以外にも間口を広げて売却協議を進めていると言及。具体的にWDや鴻海の名前を挙げた。年度内の売却完了は可能で、そのために最善を尽くすと意欲を見せた。鴻海は売却手続きの開始当初から買収に高い関心を示していた。

  東芝の広報担当、槻本裕和氏はメモリー事業売却の契約締結に時間を要している状況について、「上場廃止というような事態にならないよう全力を尽くす」などとコメントした。ベインの広報担当者はコメントを控えた。

  東芝株は売却交渉が失速しているとの報道後、一時前日比11%安まで下落。その後は下げ渋り1.7%安の287円で取引を終了した。

(第1、5段落などに情報を追加しました.)
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