渡り鳥に学べ-ボーイングとNASAが燃料節減方法、実用化に課題も

  • カナダガンのような編隊飛行、飛行効率を飛躍的に向上
  • 緻密なスケジュールの必要性で旅客機への応用は難しく
Photographer: Andy Cross/Denver Post via Getty Images

ボーイングと米航空宇宙局(NASA)は長距離飛行にたけた渡り鳥からヒントを得て、航空燃料を節約する方法を突き止めた。

  カナダガンのようにV字型の編隊を組むことにより、航空輸送業者は大規模な改造や斬新な技術に投資をしなくても飛行効率を飛躍的に向上させられるという。多くの航空機内に設置済みのナビゲーションツールや衝突防止装置を使い、複数の航空機を安全に編隊飛行させる、という構想だ。

  編隊の先頭の航空機が生む揚力を取り入れる「ウェーク・サーフィン」と呼ばれる技術により、燃料を10-15%節約できることが複数の研究で示されたと、NASAの研究員は指摘した。

  ボーイングもこうした考えに基づくものを含め、多数の構想について研究を進めている。燃料節約のためにグライダーのような長い翼を機体の下に付ける構想や、超音速飛行で生じる衝撃波をどう管理するか、さらには完全自律飛行実現への第一歩として、パイロット1人での長距離飛行を可能にする人工知能(AI)などについてだ。

  飛行中の航空機の翼の先からは、後方乱気流や翼端渦(よくたんうず)などで知られる、円すい形の気流の渦が発生する。後続機は慎重な配置によりこの渦から追加の揚力を受けられ、乗客に大きな揺れを感じさせることなく燃料節約を実現できる。

  大きな課題もある。高度3万フィート(約9100メートル)の上空でこの渦の恩恵を受けるために、航空輸送業者は同じルートを航行する航空機のスケジュールを極めて緻密に組まなければならないということだ。天候要因や従業員の就業時間、整備上の要件、航空交通の渋滞などがすでに混乱要因となっている業界で、これを実現するのは至難の業だ。

  編隊飛行はスケジュール上の不定要素が少ない軍用機や、将来的には宅配ドローン(小型無人機)などへの応用でより期待が持てると、航空コンサルタントのロバート・マン氏は指摘した。

  NASAのカート・ハンソン研究員によると、複数の航空機を同時に同じ目的地に向かわせるよう、航空貨物業者がスケジュールないしルートの変更を行うことが可能になるかもしれない。

  NASAが今年締めくくった研究では、乗客や乗務員に不快感を与えずに燃料を大幅に節約できることが明らかになったとハンソン氏は述べた。具体的にどれだけの燃料が節約できたかは明かさなかったが、2010年代前半に行われたボーイングC17軍用輸送機のウェーク・サーフィン実演では約10%の燃料節減効果が得られたと指摘。2000年前後に行われた別の研究では、F18戦闘機が編隊飛行をすることで空気抵抗を最大15%低減できたという。ハンソン氏は「現時点で技術はある」と言い、航空会社がこの技術の応用に真剣になれば「誰かしらその隙間を埋め、製品化するだろう」と話した。

原題:Boeing, NASA Look to Flying Geese in Chase for Jet-Fuel Savings(抜粋)

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