「絶句!CPIにインフレは見られず。走れ、買えるだけ買いまくれ」と題した電子メールのリポートを顧客に配信したのは、三菱東京UFJ銀行のチーフ・ファイナンシャル・エコノミスト、クリス・ラプキー氏。「インフレがなくなったかのように、先を走っている」と、米消費者物価指数(CPI)発表直後の債券市場のムードを描写した。

  米労働省が11日発表した7月のCPIは前月比0.1%上昇。前年同月比では1.7%上昇と、前の月の1.6%上昇を上回ったものの、低迷状態から脱することはできなかった。前年同月比の数値は今年2月に2.7%上昇した後、4カ月連続で低下、7月にやや戻したものの勢いはない。

  CPIの前年比は、景気の谷を経過した直後の2009年7月にマイナス2.1%でボトムアウトしていた。その後、今年2月を含めて3度の山を形成しており、景気拡大期のたそがれを映し出しているように見える。
 
  さらにCPI(82ー84年=100)をサービスと商品に分解すると、サービス物価が継続的に上昇し、今年7月には308に駆け上っている。一方、商品物価は2012年から14年にかけて190台で上げ止まりとなり、その後はほぼマイナス圏で推移してきた。

  サービス物価を前年比で見ると、今年2月に3.2%上昇と、悪性インフレの様相を呈していた。しかし、その2月をピークにして5カ月連続で減速し、7月は2.5%の上昇となった。

  つまり米国のCPIは、商品物価の低迷をサービス物価のインフレが相殺して、前年比で1%台の後半を維持しているにすぎない。そのサービス物価もどうやら2月でピークアウトしたように見える。

  サービスインフレの鈍化は生活者にとって朗報だが、2%のインフレ達成を目指す金融政策当局にとっては最大のネックにもなりそうだ。

(【米経済ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)

--取材協力:Catarina Saraiva;Chris Middleton  

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