8月第3週(14-18日)の日本株は反発が見込まれている。北朝鮮問題による地政学リスクへの警戒感は残るものの、米国の堅調な経済指標や金融政策の方向性に注目が戻りそう。リスクオフからの円高の勢いは和らぎ、輸出関連や金融株を中心に買われる可能性がある。

  北朝鮮が9日に米領グアム島へのミサイル発射を検討していることを明らかにしたことなどで米国と北朝鮮との緊張が高まり、同日の日経平均株価は一時300円以上下げた。ただ、ティラーソン米国務長官などが緊張を緩和する発言をしたため、翌10日は小動きとなった。大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは「緊張状態にあることは確かだが、米政府当局者が火消しに回るような形。米国と北朝鮮がすぐに武力的な衝突をする懸念は和らいだ」とみる。

東証外観
東証外観
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米国では、15日に7月の小売売上高、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、16日に7月の住宅着工件数、17日に7月の鉱工業生産や8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表される。小売売上高の市場予想は前月比0.4%増で、6月の0.2%減から改善が見込まれている。10日時点で金利先物市場が織り込む12月の利上げ確率は41%。経済指標で堅調な景気を確認し年内利上げの見通しが強まれば、米長期金利が緩やかに上昇し為替もドル高・円安に振れやすくなる。

  国内では、14日に4-6月期の国内総生産(GDP)速報値、17日に貿易収支が発表される。GDPの予想中央値は前期比年率2.5%増。1-3月期は同1.0%増だった。国内経済は回復基調で、企業業績も良好との見方は強い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、8日時点で第1四半期(4-6月)決算を発表した企業の77%で経常利益がアナリスト予想を上回った。値上げが浸透した鉄鋼、半導体関連需要から化学、輸送用機器などで事前予想以上の好決算となっている。企業の想定為替レートはおおむね現水準の1ドル=110円近辺で、ドル安・円高への警戒感が薄れれば業績期待も高まり、株価指数を支えそう。第2週の日経平均は週間で1.1%安の1万9729円74銭と続落。

≪市場関係者の見方≫
三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジスト
「地政学リスクで相場が下押ししても景気・企業業績に変調がないことを確認すれば復元できる。北朝鮮問題ではティラーソン米国務長官が冷静な判断を下すことが可能なため、直ちに激しい戦闘に発展するとは想定していない。一方、景気の足腰はしっかりしている上、4-6月決算も想定通りか上振れ。通期経常利益1割増程度の過去最高益更新が揺らぐ状況ではない。決算発表をほぼ終えることで、好業績かつ日経平均のPERがことし最低水準という良好なファンダメンタルズに市場の注目が戻るだろう」

大和住銀投信投資顧問・株式運用部の小出修グループリーダー
「米国では経済が非常に良い状態が続いている一方、長期金利は極端に上がらず、居心地の良い状況。米国と北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒で日本株は大きく下げたが、相場は高値圏にあったため、利益確定売りのきっかけになった印象で悲観的になる必要はない。米金融当局は9月にバランスシート縮小、12月利上げというのが市場コンセンサス。米国の金利は急激に上昇せず、株式市場の参加者にとって心地良い。株式市場の米金融政策に対する見方は小売売上高や鉱工業生産でも大きく変わらないとみられ、材料視されにくい」

アセットマネジメントOne・調査グループの清水毅ストラテジスト
「地政学リスクで一時的に円が買われても、日米金融政策の方向性の違いから為替は円安方向に戻り、日本株にはプラス。米国は金融正常化に向かっており、9月には欧州もテーパリングへとかじを切る。企業決算の発表が峠を越え材料難で薄商いのところで北朝鮮問題に注目が集まったが、緊張感が高まっただけではトレンドを変えるには至らず、過剰な警戒感は後退しよう。米国の小売売上高は堅調と予想しており、株式市場は好感するだろう。米景気は良好だが、物価が上がらない状況では長期金利の急上昇はなく、ゴルディロックス相場は続く」

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