【インサイト】テレビ事業でくすぶるアップル、明確なビジョン不在

アップルの幹部はもう何年も前から、テレビというエンターテインメントは大規模な改革が必要で、その立役者になるのはアップルだと言い続けてきた。そして時は2017年。米国のエンターテインメント業界は確かに改革の途上にあるが、アップルはその流れにほとんど入り込めていない。

ティム・クックCEO

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

  モルガン・スタンレーの試算によると、17年に入ってこれまでに100万超の米世帯がケーブルテレビ(CATV)視聴契約を解除した。すでに何千万という視聴者がネットフリックスやフールーから、好きな番組や映画をコマーシャルなしで一気見している。アマゾン・ドット・コムやグーグルなどは、音声認識機能の搭載で人々のテレビとの関わり方を変えたり、放映済み番組や映画だけでなく生放送番組も見られるようにしたりという変化をリードしている。

  おそらく最も厄介で驚くべきなのは、これだけの歳月が過ぎてもいまだにエンターテインメント領域で目指す明確なビジョンをアップルが持っていないとみられることだ。これはアップルに、人々の将来を創造する能力が衰えていることの象徴と言える。

米国各社のストリーミング・メディア利用者数(2016年)

Data:eMarketer:graphic by Bloomberg Gadfly

  ティム・クック最高経営責任者(CEO)はアナリストに対して先週、エンターテインメント番組で何が反響を呼ぶかを知り、有料サービス契約者に魅力的な独占コンテンツを提供することを目的に、定額制音楽配信サービス「アップル・ミュージック」でのみ視聴可能な独自の動画番組を制作していると述べた。だがこれは、人々の余暇の過ごし方や「テレビを見る」ことの意味を根本から変えるような一大ビジョンとはとても言えない。

  ポップカルチャーの領域でアップルにはまだチャンスがたくさんあり有望だ。だが、いまだにミッション模索の段階だという事実が、アップルがエンターテインメント界に変革をもたらすトーマス・エジソンになることを難しくしている。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)

原題:Apple Helped Reinvent Music But Dawdles on Television: Gadfly(抜粋)

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