アジア金融ハブ」構想を打ち出している東京都に対し、国際資産運用センター推進機構(JIAM)は、国内外の新興資産運用業者への運用資金提供も含めた育成プログラムを提案する。東京市場への拠点設立を条件に資産運用業者を支援し、誘致するのが狙い。都が採択すれば、金融機関や公的年金、政府系金融機関などに出資を視野に協力を呼びかけることになる。

  日本でのファンド設立には免許取得に時間がかかったり、設立間もない運用会社は運用実績データ不足などで投資家から運用資金を集めるのも困難だ。JIAMの案では、都は選定した運用業者が迅速に免許取得できるよう金融庁と連携するほか、資金集めやITプラットフォームなど運営サポート会社の紹介をする。

  JIAMの有友圭一理事は「優秀な運用者は日本を去っている。タレントを発掘して誘致したい」と話し、ファンドマネージャーの国外流出を防ぎ、海外からも呼び込む考えを明らかにした。JIAMは資産運用業者の起業を助けたり、海外からの誘致を推進する非営利団体で、日本証券業協会、日本取引所グループや平和不動産などが母体。

小池百合子都知事
小池百合子都知事
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  東京の国際金融都市としての地位復活に向け、東京都の小池百合子知事は昨年11月、懇談会を設置して方策を議論している。6月に公表した構想骨子は、2020年度までの4年間で運用業者やフィンテック系の外資40社の誘致目標を打ち出し、資産運用業者やフィンテック産業を育成する方向性を示した。11月には最終構想をまとめる予定だ。

  独立系運用会社ウィズ・パートナーズの石見直樹副社長兼債券運用CIOは、「小さい運用会社でもやっていける土壌を作ってもらいたい」と話す。シンガポールや香港と比べて税制などの違いはあるが、東京でのファンド設立・運用もコスト的には大差はないとし、日本での運用会社設立が増える可能性はあるという。

  JIAMが提案する支援対象は成長領域への投資や、ESG(環境・社会・ガバナンス)など社会的意義のある投資で超過リターンを生み出せる運用業者。運用業者の選定や資金配分に当たっては、支援に協力する会社の合議で決定するなど、透明性や公平性を確保する。

地盤沈下

  英シンクタンクのZ/Yenが3月に公表した金融センターの国際競争力を示す指数では、東京はロンドン、ニューヨーク、シンガポール、香港に次いで第5位。部門別では人材やインフラは5位だが、ビジネス環境や金融セクターの発展では6位、評判が7位となっている。株式市場の時価総額や上場会社数では東京はシンガポール、香港を上回っているが、上場する外国の会社の数は大きく下回り、わずか5社にとどまっている。

  都の「国際金融都市・東京」構想骨子は、かつてロンドンやニューヨークと並ぶ国際金融都市だった東京が「地位を取り戻すにはラストチャンス」と強調。日本の金融・保険業が国内総生産(GDP)に占める割合を現状の5%未満から、英国並みの10%へ倍増できれば、GDPで約30兆円の押し上げ効果があるとしている。

  海外でも運用会社の育成の動きが盛んだ。フランスでは、パリの金融センター化を推進するユーロ・プレイスと資産運用協会が支援するファイナンスイノベーションが2012年に新興運用会社にシード資金を提供するファンドを設立。欧州株ファンドなどに4億5000万ユーロを拠出している。

  カリフォルニア州職員退職年金基金なども、一定の総資産以下の新規設立ファンドに対してシード資金を提供する育成プログラムを実施している。また、運用資産が大きく成熟した運用業者を対象に資金配分するプログラムもある。

  ブルームバーグはJIAMの賛助会員となっている。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE