「火鍋」でビリオネアの仲間入り-19歳の苦い外食体験が原点

  • 張勇氏の海底撈火鍋は中国で人気最高のレストランチェーンの一つ
  • 今年は30%超の増収見込む、上場の計画はない-張氏
中国の火鍋店、待っている客にマッサージやマニキュアを提供

中国のレストランチェーン、海底撈火鍋の共同創業者で会長を務める張勇氏は初めての外食をよく覚えている。四川省で溶接工をしていた19歳の同氏にとって、「社員食堂」ではない本物のレストランに繰り出すのは胸躍る体験だった。

  だが、レストランのスタッフはぞんざいで、「火鍋」もたいしたことはなかった。そんな中である日、火鍋という中国の食文化を一新させることになる事件が起こった。婚約者がいた張氏は社宅を巡り会社側と対立し、国有のトラクター工場での仕事を辞めことになったのだ。そして1994年に最初のレストランをオープン。わずか4卓のテーブルしかない小さな店だった。

海底撈火鍋の店内(上海)

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  今や張氏は、中国で最も人気の高いレストランチェーンの一つを経営している。中国の60都市で196店舗を展開するほか、ロサンゼルスや東京、シンガポール、ソウルにも出店している。

  ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、張氏は最近ビリオネアの仲間入りした中国人実業家の1人だ。同氏は四川海底撈餐飲の68%を保有。非上場の同社などに加え、上場している頤海国際の持ち分36%もある。頤海国際は海底撈火鍋のために食品流通や調味料製造を手掛けるが、製品は中国のウォルマートやカルフールといったスーパーマーケットなどでも売られている。

張勇氏

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  海底撈火鍋の広報担当者は電子メールで、張氏は自身の資産についてはコメントしないと説明した。

  河南省鄭州で開かれた中国人企業家の会議に参加した張氏はインタビューで、「もし海底撈火鍋を始めなかったら、何か別のことを見つなければならなかっただろう。とにかく生計を立て、食べなければならないからだ」と述べた。

  今の張氏は中国とシンガポールを行き来する生活だ。シンガポールには妻と息子が住む。最初に工場で働いたときの稼ぎは月93元(約1530円)だった。ビジネス・タイムズによれば、その張氏は昨年、シンガポールで2700万シンガポール・ドル(約22億円)の高級不動産を購入した。

火鍋の食材-肉や海鮮類、野菜をスパイスの利いたスープで味わう

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  張氏は事業の拡大を続ける計画で、今年はさらに最大で80店舗増やすことを目指している。海底撈火鍋の売上高は今年30%余り増え100億元に達する公算が大きいと張氏は説明。中国本土もしくは本土外で海底撈火鍋を上場させる計画はないとも話した。

原題:China’s Spicy Hotpot Billionaire Is Ready to Take on the World(抜粋)

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