収益50%超、地方に眠る優良企業に投資-日本株ヘッジファンド

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独立系ヘッジファンドのシンプレクス・アセット・マネジメント(運用資産は約5500億円)が東証1部昇格を目指す企業で運用するバリューアップ・ファンドが、7月末までの1年間で54%の収益を上げた。地方などの割安な優良企業を発掘、経営改革を指南している。

  主な投資対象は、アナリストのカバーが薄く東証1部以外に上場している時価総額100億円未満の小型株。隠れた成長株を掘り起こすため、公開データだけではなく3人のアナリストが1日5社ずつ取材して、割安に評価されている企業を選定する。投資後は企業に経営指導しており、対象の120社程度のうち39社が東証1部に昇格している。

  運用開始は昨年6月で、現在100億円を運用している。今後は、国内外の年金や海外の基金などからも資金を集め、年内にも最大運用可能額の約300億円を目指す。

  同じ7月までの1年間でTOPIXの上昇率は22%にとどまり、同ファンドはこれを大きく上回る。このほかストラテジックキャピタルのアクティビストファンドが7月までの1年間で32%、スパークス・グループのジャパンバリューインパクトファンドは6月までの1年間で33%のリターンを上げた。中小型株を対象としたバリュー投資型ファンドの幾つかはインデックスを上回るパフォーマンスを見せている。

  シンプレクスの水嶋浩雅社長は「手間はかかるが、地方の企業経営者と話をするのは海外ではなくローカルな運用者でないと難しい」と話す。「日本という一国にこれだけ証券取引所があるのはユニークな状況だ」とし、地方の取引所やジャスダックなどに上場しているというだけで割安に放置されている企業に目をつけているという。

  例えば投資対象のうち、バーコードリーダーなどを開発製造するジャスダック上場のオプトエレクトロニクス(本社・埼玉県蕨市)はベンチャーキャピタル(VC)から1株400円台で購入し、現在は800円台に上昇した。「業績が順調でおそらく1部上場すると応援している」と、水嶋氏は話す。

  流動性の低い株が対象であり、大量注文を市場に出すと株価が大きく変動するため、リターンを上げるには、まとまった株を市場外で入手する方法も課題。シンプレクスが株主になることが企業価値向上につながると投資先企業の経営者が判断すれば、上場前から保有しているVCなどに株売却の仲介をしてくれることもあり、相対で入手できるという。

アジアでもバリューファンド

  先月からはアジア9カ国を対象したバリュー株ファンドの自己資金での運用も開始した。水嶋氏は、アジアに投資する人は「サムスン電子や鴻海精密工業など成長に賭けて投資している」が、「バリュー投資はあまりやってない」と指摘。シンプレクスが始めた戦略では、流動資産よりも時価総額が小さく、「仮に市場が下がってもダウンサイドが限定されている」という。

  投資対象は韓国、香港、台湾、インドなど計9カ国・地域。約400社の中から、流動性が低く機関投資家の株主が少ないため、割安に放置されている企業に投資する。自己資金20億円で運用を開始し、リターン10%以上を目指す。

(第8、9段落を追加して、更新しました.)
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