世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4-6月の運用収益は5兆1153億円、収益率は3.54%となり、4四半期連続で黒字となった。国内外での株高と対ユーロでの円安が寄与した。

  GPIFが4日公表した今年度第1四半期の運用状況によると、収益額と収益率はトランプ米大統領の就任に先んじた世界的な株高と大幅な円安・ドル高に恵まれた昨年10-12月期以来の高水準だった。市場運用分では国内株が2兆3161億円で6.59%、外株は1兆9124億円で5.48%。外債は米欧金利の低下に加え、円安・ユーロ高も追い風となり8809億円で4.45%。一方、中期ゾーンまでの国債利回りがマイナス圏にとどまる国内債はマイナス14億円で0.01%の運用損となった。

  この結果、6月末の運用資産は149兆1987億円と3四半期連続で過去最高を更新した。前身の年金資金運用基金として自主運用を始めた2001年度からの累積収益は58兆4756億円と過去最高を記録した。

  4-6月期はトランプ政権による大規模な景気刺激策への期待感が一段と低下した半面、欧州の政治不安はフランスの大統領選と国民議会選を経て後退。円高懸念が和らぎ、GPIFの保有資産の約6割を占めるリスク性資産の価格には上昇圧力が掛かった。

  高橋則広理事長は資料に掲載したコメントで、4-6月期の投資環境について、内外の堅調な経済指標、良好な企業業績により世界的な株高基調が継続したのに加え、日本銀行の金融緩和が続く中で、米国の利上げやユーロ圏の金融政策の正常化観測から円安基調となったと説明した。

株式比率は目標に接近

  年金特別会計が管理する資金も含めた積立金全体に占める国内債の割合は6月末に30.48%と目標値の35%を5ポイント近く下回り、過去最低を更新した。国内株は24.41%、外株は23.91%と、ともに最高を更新し、目標値の25%に接近した。外債は13.53%と過去最高だった2015年9月末に次ぐ水準に上昇。短期資産は7.67%だった。全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資は0. 10%に増えた。

  名目賃金上昇率を差し引いた運用利回りは6月末までの約16年間に年率3.07%。政府から求められる同0.19%を大幅に上回った。こうした中、GPIFは、日本株の運用でESG(環境・社会・ガバナンス)指数を選定し、これに連動したパッシブ運用を約1兆円規模で始めている。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは当面は何兆円も損が出るような環境ではないが、運用益についても冷静に評価する必要があると指摘。りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストはGPIFのESG投資について、「今回はまだ提灯をつけただけだが、今後は民間投資家も追随し、企業にも取り組みが広がるという意味では良い方向に行っている」と述べた。

  日本株の運用指標であるTOPIXは6月末に1611.90と3月末から6.56%、外株のMSCIコクサイ指数は円換算で4.20%上昇。米国債の10年物利回りは2.30%と8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げた。円相場は対ドルで112円39銭と1円の下げにとどまったが、ユーロに対しては1ユーロ=128円40銭と10円近く下落。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは1bp高い0.075%だった。 

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