日本国債市場で真夏の肝試し、ジャクソンホールまではリターン追求か

世界の債券市場に平和、あるいは少なくとも休戦状態が訪れたようだ。日本の投資家はこれを、日本国債でまともなリターンが望める唯一の年限である20年物買い増しのシグナルと捉えている。

  日本銀行は世界的な債券売りの波及を食い止めるべく、国債買い入れオペを通じて日本国債市場への介入を強め、長期金利の指標となる10年物の利回り急上昇を阻止した。10年物利回りをゼロ付近に抑えることへの日銀のコミットメントで生じた混乱により、世界の他の中央銀行がタカ派色を強めている中で、同中銀および日本の投資家は不利な状況に置かれている。

  日銀は先月、10年物日本国債を利回り0.11%の水準で無制限に購入する指し値オペを実施した。市場ではこれが長期金利の上限とみなされるようになり、20年債の値下がりにも歯止めがかかっている。日銀が債券ボラティリティーの低い状態をつくり出したことになり、投資家が利回りとともに値上がり益を追求する公算が大きくなる、とモルガン・スタンレーMUFG証券の債券ストラテジスト、杉崎弘一氏は指摘する。

  杉崎氏は投資家が注目する可能性のある取引として、債券を保有してクーポン収入を確保するとともに、利回りが下がったら売ってキャピタルゲインを得る戦略を挙げ、「キャリー収益とロールダウン効果の高い20年セクターでの押し目買いが、皆が一番やる戦略になるだろう。キャリー・ロールを狙ったチキンレース(肝試し)が入ってくるだろう」と語った。20年債の利回りが「0.6%以上で買って、0.5%に近づくにつれて皆が売るというレンジトレードになり、さらにボラティリティーが下がる、という繰り返しになりそうだ」としている。

超長期債の対10年債利回りスプレッドの推移

Bloomberg

  7月初旬に欧州中央銀行(ECB)がテーパリングを検討するとの観測が浮上して、ドイツ国債の利回りが1年半ぶり高水準となったほか、米国債と日本国債の利回りも上昇した。ブルームバーグ・バークレイズ・アジア太平洋・日本・国債トータルリターン指数で今年0.1%を超えるリターンを上げたのは残存15-20年の債券のみだった。指数全体は年初来で0.3%下落している。

  8月24、25両日には米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催のシンポジウムに世界の中銀当局者が集まる。これが一段の債券売りのきっかけとなるリスクがある。ECBの次回政策決定は9月7日、米連邦公開市場委員会(FOMC)は同月21日にバランスシート縮小開始を発表する公算が大きい。

  マスミューチュアル生命保険・運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「ジャクソンホールと9月のECBの動きまでは海外からの日本国債利回りへの影響は限定的だろう」とした上で、その後については「ECBがテーパリングにかじを切った時に日銀がノーアクションでいられるのかという臆測が生じ得る。ジャクソンホールの動きを受けて、日銀に対するプレッシャーにもつながる可能性はある」と語った。

  また、大和住銀投信投資顧問の国部真二債券運用第二部長は、米当局とECBが調整について詳細を発表し始めるまでは市場は静かだろうが、その後は「超長期の日本国債が影響を受けるだろう」とみている。「海外が落ち着いている時はキャリー・ロールダウンに魅力がある15、20年のセクターが自然に選好されやすい」とも述べた。

原題:Traders Play Chicken With Only Profitable JGBs Till Jackson Hole(抜粋)

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