トヨタ、マツダが株相互保有-米国で16億ドル折半投資で新工場

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トヨタ自動車が環境技術関連などで業務提携を検討してきたマツダと業務資本提携し、米国では総額16億ドル前後(約1800億円)を折半投資して新工場を建設する。電気自動車(EV)の共同技術開発や先進安全分野の技術提携、商品補完の拡充などでも合意した。経営資源を相互に活用して相乗効果を狙う。

  両社の4日の発表資料によると、マツダの第三者割当増資をトヨタが引き受けて発行済み株式総数5.05%を取得すると同時に、トヨタの第三者割当による自己株処分をマツダが引き受けて同0.25%を取得する。米国では年産30万台規模の完成車を生産する合弁会社を設立し、折半で総額16億ドル前後を投資して2021年をめどに新工場の稼働を目指す。米新工場は4000人規模を雇用し、トヨタの北米向け「カローラ」やマツダが北米向けに新規導入するクロスオーバー車を生産する。

  両社はさらに、各国の環境規制や市場動向に迅速に対応していくため、EVの共同技術開発を進め、詳細は今後検討していく。コネクティッドや先進安全技術では、車載用マルチメディアシステム関連の共同開発、トヨタの車々間・路車間通信技術をマツダと連携して進展させていく。商品補完の拡充では、北米ですでにマツダがトヨタにコンパクトセダンを供給しているのに加え、日本でトヨタがマツダに小型商用2ボックスバンを供給し、さらに補完の可能性を検討していく。

  資本提携では、マツダは3192万8500株を総額約500億円で発行し、トヨタが引き受ける。両社は第三者割当増資や自己株処分により、米国合弁会社設立の設備資金の一部に充当する。提携関係の進ちょくに応じて、さらなる資本提携関係の強化も検討していく。

EVは混成チーム結成

  トヨタの豊田章男社長は同日夜の共同会見でEV開発について、両社の混成チームを結成して開発にあたるとし、トヨタのEV開発も融合すると話した。米国の共同新工場にカローラの生産を集約するとしたほか、将来的には新工場でのEV生産についても「検討する可能性はある」と述べた。マツダの小飼雅道社長は「社会に貢献する会社になる上でトヨタとの切磋琢磨による協業は今後何より必要」と語った。

  米国ではトランプ大統領が自国第一主義を掲げ、内外企業に米国で生産するよう求めてきた。これを受けて、トヨタは今後5年間で米国に総額100億ドルを投資する計画を表明していた。一方、マツダは米国内に生産設備を持たず、為替変動のリスクにさらされていた。

  SBI証券の遠藤功治アナリストは、今回の資本提携でマツダは電動化などでトヨタの技術の取り込みなどが期待できると指摘したほか、ガソリンエンジンなどマツダの方が優れている点もあり、「トヨタにとってのメリットもある」と話した。また、トランプ政権の圧力を受ける両社にとって米国の合弁工場は双方にメリットがあるとした。 

  トヨタとマツダは、トヨタのハイブリッド技術のライセンス供与やマツダのメキシコ工場でのトヨタの小型車生産などで協力関係を築いてきた。15年5月には環境技術や先進安全技術などの分野で新たな業務提携に向け基本合意し、商品・技術の補完など、互いに相乗効果を発揮できるような協力関係の構築に向けて具体的な検討を始めると発表。トヨタの豊田社長は昨年10月のスズキとの業務提携の検討開始についての発表資料で、「同じ志を持った仲間づくりが重要となってきている」と述べていた。

  トランプ大統領は両社の米国工場計画について「米国の製造業への素晴らしい投資だ」とツイッターでコメントした。

加速する先進技術開発

  ガソリンなどを燃料とするエンジン車が二酸化炭素など排ガスを出すことから、世界の主要な自動車メーカーは環境規制の強化を受けて、電気モーターで走行する電動車両の開発・投入を進めている。また、自動車メーカーや情報技術(IT)関連などの企業は車線の維持・変更や衝突防止のブレーキ機能など自動運転技術の開発も加速させている。

  さらに、自動車メーカーのほか、米アップルやグーグルなどは、車に情報通信機能を搭載するシステムの開発を進めている。コネクティッドカーでは、情報通信機能を搭載した車と道路などの設備や、車同士などがネットワークを通じてデータや情報を交換し、危険回避など安全性を高めたり、渋滞を回避した効率的な運転を支援する。

  こうした先進技術開発には巨額の資金が必要になるため、自動車業界では合従連衡が進んでいる。トヨタは、軽自動車など小型車を得意とするダイハツ工業を完全子会社化したほか、ダイハツとライバル関係にあるスズキと業務提携を検討している。一方、国内では仏ルノーと資本業務提携している日産自が三菱自の約34%の株式を取得して傘下に収めて協力を進めている。

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