三菱重は来期以降も商船事業の売上高維持へ-分社化で受注獲得強化

  • 売上高は今期が当面のピークと船舶海洋事業責任者の大倉執行役員
  • 造船専業3社と提携などで低操業を克服へ-20年度目標達成へ注力

三菱重工の宮永俊一社長

Photographer: Tomohiro Ohsumi

造船事業を分社化する三菱重工業は、商船事業の売上高が今年度(2017年度)に当面のピークとなるとみているが、それ以降もできるだけ規模を維持していくことを目指している。受注は数年間は低迷すると予想しており、船舶海洋事業の新会社と国内造船会社3社の提携など、分社化で機動力や営業力を高めて需要を取り込む。

  船舶・海洋事業部長の大倉浩治執行役員は1日のインタビューで、17年度は船舶事業の売上高で1500億円程度を見込んでおり、それが「ピークだ」と述べた。既存受注から18年度と19年度の売上高は1000億円超の規模へ落ち込むとみているという。20年度以降の受注は再び回復基調になるとし、「19年度、20年度も売上高1500億円に近づけることが当面の課題」と語った。造船事業の分社化は7月31日に発表している。

  分社化の狙いについて、大倉氏は「業界を取り巻く世界の変化のスピードに対応するため」と強調。長崎造船所で今後見込まれる低操業による売上高の落ち込みを、分社化して造船専業3社と提携することや組織の効率化で克服したいと語った。また、宮永俊一社長が2月に掲げた船舶事業の20年度目標である売上高1500億円と営業利益率6%の達成に向けた体制構築に注力するとした。

  大倉氏は「求められているものは、例えば環境規制対応であり、新しい技術の開発に取り組むこと」と述べ、「エンジニアのリソースをどこにどの程度配置するかが重要になってくる」という。市場に機敏に対応できる組織をつくる一方、じっくり腰を据え取り組む課題もあり、双方を同時に解決するのが今回の分社化だったと説明した。
  
  独立性を高めた新会社は三菱重の完全子会社として、横浜市に拠点を置き、18年1月に設立。今後は今治造船、大島造船所、名村造船所の3社と提携し、個別案件ごとに協力するなど生産効率向上を目指す。15年に設立した大型船体生産会社と液化天然ガス(LNG)などガス運搬船の造船の子会社2社も統合し、長崎市に拠点を置く新会社を同時に設立する。

  三菱重は大型クルーズ客船2隻の建造で16年度までに累計2500億円を超える損失を計上。昨年10月には大型客船の建造から撤退を発表。中小型の客船に特化する方針を打ち出し、商船事業の抜本的改革に取り組むとしていた。長崎造船所は、江戸時代末期の1857年に建設され、明治時代には三菱グループの礎となった歴史ある造船所で、現在まで数多くの船舶を建造してきた。

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