消費者物価は今秋にもピーク-増える先行き鈍化予想、2%到達程遠く

  • 一段と早く物価が頭打ちとの見方-第一生命やシティグループ証など
  • エネルギー価格上昇による物価の押し上げ要因が剥落へ

消費者物価指数(CPI)は日本銀行が掲げる2%物価目標に到達することなく、今秋にもピークを迎え、上昇傾向に歯止めがかかるとみるエコノミストが増えている。

  ブルームバーグ調査の予想中央値によると、生鮮食品を除くコアCPIは今年第4四半期に0.8%上昇となった後、減速するとの見通しだ。しかし、エコノミストの中には、エネルギー価格による押し上げ要因が剥げ落ち、一段と早く物価が頭打ちになるとの見方も出ている。

  第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、コアCPIは今秋に前年比0.7%~0.8%程度まで上昇した後、伸び悩むとみている。新家氏は先月28日付リポートで「2%達成が難しいのはもちろんだ」とした上で、2018年度にコアCPIが伸び率を高めるだけでも相当ハードルが高いとの認識を示した。

  同様の見方は新家氏だけではない。バークレイズ証券は同日付リポートで、コアCPIの前年比プラス幅は9月に0.8%上昇となった後、徐々に減速すると予想。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは同日付リポートで、全国コアCPIは9月~11月に0.7%上昇になると試算した上で、「12月以降は、再び伸びがやや鈍化する公算が大きい」と予想している。

  日銀は先月20日公表の展望リポートで、コアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)を17年度は1.4%上昇から1.1%上昇へ、18年度は1.7%上昇から1.5%上昇へ下方修正し、2%達成時期を「18年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。

  来春に任期を迎える黒田東彦日銀総裁は同日の記者会見で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で「2%の実現に向けたモメンタムは維持されている」とし、2%目標の堅持をあらためて強調した。

  日銀は14年4月の展望リポートで16年度のコアCPIを2.1%上昇と想定したが、現実は0.2%下落にとどまった。黒田総裁は会見で、物価見通しが外れたことで信用がなくなるということはないと言明。日本は予想物価上昇率が足元の物価に引きずられる傾向が強いことを十分に勘案していなかったと説明した。

  物価の伸び悩みに頭を悩ませているのは日銀だけではない。米連邦公開市場委員会(FOMC)は先月25、26両日の定例会合後の声明で、低インフレの局面が続いていると強調した上で、「インフレ動向を注視している」との記述を踏襲。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は物価目標に到達していないことから量的緩和政策の変更は急がないとの見方を示した。

  日本の消費者物価は0%近傍で推移しており、物価目標達成の道のりは遠い。金融緩和策が長期化する中、政治家やエコノミストからは出口戦略に向けた丁寧な説明を求める声が上がっている。

  総務省が先月28日発表した6月のコアCPIは0.4%上昇、エネルギーの寄与度は0.35ポイントだった。

  

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