【起債評価】政投銀初の30年債、1%に迫る利率-新規需要獲得

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  • 供給減少で高まる30年債運用ニーズに応える
  • スプレッドは先行案件と同じ国債+14bpで着地

日本政策投資銀行は、株式会社化した2008年10月以降で初めてとなる30年満期一括債を起債した。少しでも高い利回りを求める投資家側と資金調達手段の多様化を図る発行体側の思惑が一致。超長期債を必要とする生保を中心とした運用ニーズを取り込み、最終需要は発行額100億円に対して約1.3倍となった。

  発行条件は国債+14bp(bp=0.01%)の0.998%で決まった。発行体格付けはR&IのAAのほか,JCRがAAA、ムーディーズがA1、S&PがAとなっている。

  政投銀は第4次中期経営計画(2017-19年)で資金調達手法の多様化による財務・経営基盤の強化を目指している。インフラ関連事業への融資などを手掛ける同行にとって負債年限の長期化ニーズもある。一方、機関投資家の間でも、歴史的な低金利環境下で地方債や財投機関債の中でも利回りが稼げる30年債に対する運用ニーズは高まっていた。

  複数の投資家は低金利環境下で利率0.998%の債券は魅力的な投資先と述べた。ある機関投資家は30年物の起債が少ないため、他の財投機関債でも超長期債の発行が増えてほしいと話した。これらの投資家は情報が非公表だとして匿名を条件に話した。

  政投銀の財務部財務課、小笠原悠祐調査役は起債理由について「発行ニーズはもちろん定期IRを通じて投資家からも起債について要望が出ていた。新たな年限選択で新規投資家を取り込める利点もある」と説明した。

数少ない30年債

  主幹事は投資家の具体的な目線を探るため7月24日から2日間のサウンディングを開始していた。具体的な発行水準を提示せずに投資家の意見を求めると、利率1%程度を意識しながらも、一足早く6月に起債した都市再生機構30年債(ムーディーズ:A1、R&I:AA、利率0.944%)と同じ「国債+14bp」が最低限の線と認識されていたと、主幹事証券会社は説明する。その後26日に行われたマーケティングでは、この水準の1本値が提示され、1日で交渉を終えた。

  主幹事によると、中央投資家と地方投資家の比率は約9対1。新規投資家の姿もみられ、購入投資家層の中でも生命保険会社の参加が目立ったという。小笠原氏は今後について「30年債はひんぱんに起債できる年限ではないが、市場環境や投資家の要望を見ながら検討していく」と話した。

  公共債の30年物の起債は減少傾向にある。中でも地方債市場では償還資金を積み立てる減債基金を必要としない定時償還債が台頭し、償還年限が実質的に短くなる。これに対して、ブルームバーグのデータでは満期一括償還の30年債は今年度入り後7月末までの供給総額が570億円(地方公共団体金融機構債を含む)にとどまり、前年同期比で54%減少した。また財投機関債(入札案件は除く)は3本、計400億円だった。

  調査のレンジ推移は以下の通り(かっこ内は発行額:単位は億円)。

30年債
24~25日サウンディング
26日国債+14bp

  購入投資家層は以下の通り。

中央投資家地方投資家
30年債生保、損保、信託、中央公的地方公的、諸法人
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