ロンドンやニューヨークで高級衣料を販売するのはそれほど難しいことではない。中国の衣料品メーカー、波司登国際は2012年に世界進出を試みた際、少なくともそう予想していた。

波司登の店舗(上海)
波司登の店舗(上海)
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  ドイツのアディダスなど国際的な企業向けにダウンジャケットを製造する波司登は、中国で最も成功を収めたアウターのメーカーだった。仕立職人から富豪になった同社の高徳康会長は3500万ポンド(約51億円)を投じてロンドンのメイフェアに出店した。事業拡大を狙った計画だったが、ブランド力で顧客を十分に引き付けることができず頓挫した。同社は現在、国内市場に経営資源を集中している。

波司登の店舗内を見て回る客
波司登の店舗内を見て回る客
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  中国の衣料品輸出は世界最大だが、波司登のつまずきは中国企業が自社ブランドで海外市場に進出しようとする際の課題を浮き彫りにしている。コンサルティング会社ブランドZのグローバル責任者ドリーン・ワン氏(ニューヨーク在勤)は、選択肢をあまり与えられてこなかった中国国内の極めて大きな顧客基盤が誤った認識を生んだと指摘した。

  ワン氏は「中国のアパレルメーカーは商品を棚に置けばそれでブランドを確立したと思っている。中国の消費者はただ単に手に入りやすい物を買ってきたし、それが国内でのこうした企業のやり方だったからだ。しかし今の消費者を取り巻く環境では、ブランド確立には長い時間と多額の投資が必要だ」と述べた。

波司登のダウンジャケット
波司登のダウンジャケット
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  波司登は「ボストン」の中国語の音訳。中国での年商は13億ドル(約1440億円)に上る。欧米の高級紳士服市場で勝負するためニック・ホランド、アッシュ・ギャンゴトラ両デザイナーらを起用した。問題は波司登というブランドが海外でほとんど知られていなかったこと、また高級衣料品小売りとして認められるために必要な投資を同社が理解していなかったことにあった。

  コンサルティング会社ローランド・ベルガーのシニアパートナー、リチャード・ホー氏(上海在勤)は、華為技術やレノボ、オッポ、アリババなど中国のテクノロジー・ブランドは海外で成功を収めているが、中国のアパレル企業は概して「機能と感性の両要素でどのように製品を構築していくか」が分かっていないと指摘した。

原題:Chinese Fashion Has an Image Problem, Bosideng’s Struggle Shows(抜粋)

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