日本銀行は31日、2007年1月から6月に開いた金融政策決定会合の議事録を公表した。2月会合で岩田一政副総裁の反対を振り切り利上げに踏み切ったが、米国の住宅バブルが崩壊し、同年8月にはサブプライムローン問題が表面化。翌08年9月にはリーマンショックに見舞われ、利上げ路線はとん挫した。

  同年1月の会合で、須田美矢子、水野温氏、野田忠男の3審議委員が利上げを提案したが、反対多数で否決。2月の会合で岩田副総裁を除く8人の賛成多数で、前年7月以来となる利上げが決定した。岩田副総裁は物価上昇率の先行きに不透明感が強いことを理由に、1998年の新日銀法施行以来、議長提案に副総裁として初の反対票を投じた。

  岩田副総裁は、名目賃金が安定的に前年比プラスの環境ではない中で、物価が安定的に上昇していくというメカニズムは「やや考えにくい」と指摘。少なくとも9月くらいまで「ゼロないし若干のマイナスで推移する可能性が高い」と述べた。

  福井俊彦総裁は多数意見について、今後も緩やかな成長が続けば、物価も「基調として上昇傾向をたどるであろうと、そういうご判断であった」と指摘。さらに、経済・物価情勢と離れて低金利が長く続くとの期待が定着すれば、行き過ぎた金融経済活動を生じさせ、「息の長い成長がむしろ阻害される可能性がある、そういうご見解だった」と総括し、利上げの議長案を提出した。

  日銀は前年10月の展望リポートで、06年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通し(政策委員の中央値)を0.6%上昇から0.3%上昇に、07年度を0.8%上昇から0.5%上昇に下方修正。2月会合時点で入手可能だった前年12月も0.1%上昇とゼロ近辺だった。結果的に、物価はその後も低迷が続き、06年度は0.1%上昇、07年度は0.3%上昇と見通しを下回る着地となった。

背景に楽観的な物価見通し

  日銀は06年3月、量的緩和政策を終了して金利政策に復帰、消費者物価指数の前年比で「0-2%程度」を中長期的な物価安定の理解として示した上で、「経済・物価情勢の変化に応じて徐々に調整を行う」と利上げに前向きな姿勢を表明した。その下で2度目の利上げに踏み切ったが、背後にあったのは楽観的な物価見通しだった。これは今も変わっていない。

  日銀は今月20日の決定会合で、物価目標の2%達成時期を「18年度ごろ」から「19年度ごろ」に変更した。先送りは、黒田東彦総裁が13年4月に異次元緩和を開始してから6度目。それでも各年度の見通しは民間に比べ高いままだ。28日発表された6月のCPIは生鮮食品とエネルギーを除くと3カ月連続で横ばいだった。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは同日付のリポートで、日銀が掲げる2%の物価目標について、日本経済の実力や国民の物価観から考えて高過ぎ、「達成はほぼ不可能」としている。
  

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