米カリフォルニア州の上級裁判所は28日(日本時間29日早朝)の審問で、米ウエスタンデジタル(WD)が求めていた東芝のメモリー事業(東芝メモリ)売却の差し止めを認めなかった。代わりに東芝に対して事業売却を完了する2週間前にWD側に通告することを命じた。

  同裁判所は14日の初回審問で、この通告案を提示していた。東芝は事業売却の契約を締結した場合は24時間以内に公表することでも合意した。これらの合意内容は今後、WDが別に提訴している国際仲裁裁判所で法廷が構成されてから60日後まで適用される。仲裁廷は向こう1-2カ月で始まる見通し。

  これを受け、東芝は産業革新機構を軸とする日米韓連合などと売却契約の早期締結を目指す方針だ。成毛康雄副社長(東芝メモリ社長)は29日、「今回の合意は極めて限定された期間のみ有効で、当社がメモリー事業の売却交渉を進めて最終契約を締結する権利が認められうれしく思う」などとコメントした。

  WDも28日、裁判所の提案に基づき、これらの合意に至ったと公表。「われわれの目的は常に、成功している合弁事業の健全性と将来を守り維持することだ。現在進めている東芝とその利害関係者との協議は建設的で、今後も引き続き全ての当事者にとって最大の利益となる解決策を探るため取り組むと」述べた。

優先交渉先

  米原発事業の巨額損失で債務超過に陥った東芝は、その解消のため4月に分社化した東芝メモリの年度内売却を目指している。しかし、WDは売却は合弁契約に違反すると主張。5月に国際仲裁裁に売却中止を求め仲裁を申請し、判断が下されるまでの間の売却差し止めを求め、米裁判所に仮処分を請求していた。

  東芝メモリの売却を巡っては、東芝は6月21日に革新機構や日本政策投資銀行などで構成する「日米韓連合」を優先交渉先に決めた。参加各社の出資比率など具体的な買収条件を盛り込んだ契約書の作成を進めているが、その後1カ月以上が経過しても成約には至っていない。

  関係者によると、同連合に参加する韓国のSKハイニックスの東芝メモリへの関わり方に加え、付帯条項として係争リスクへの対応をどのようにするかなどの詳細が詰め切れていないもようだ。一方で、東芝はメモリの売却先にWDが合流する余地も探っている。

  最終的には仲裁裁が示す判定が有効となるが、結論までには1~2年を要するとみる専門家もいる。東芝も日本でWDを相手取り訴訟を起こすなど、日米での訴訟合戦に発展している。東芝とWDは三重県四日市市でメモリー事業を共同運営している。

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