麻生太郎財務相は28日午前の閣議後会見で、冷凍牛肉の輸入量が超過したことを受けて、セーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表した。農産物の輸入を拡大するよう求めている米国の態度を硬化させる可能性があるが、日本はこれを機に環太平洋連携協定(TPP)への再加盟を促すとの見方もある。

  財務相は、今回の発動について、輸入量が超過した場合に自動的に発動される法律に基づいた措置だとし、政府の裁量ではないと強調。主要輸出国の米国をはじめとした関係国に「丁寧な説明」をしていると述べ、「粛々と執行していくことになるが、要望を踏まえて、日米経済対話などを活用して議論することになる」と語った。

  輸入冷凍牛肉へのセーフガードは、全世界からの輸入数量とEPA(経済連携協定)税率の適用を受けない輸入数量のいずれもが対前年度同期比117%以上増えた場合に発動され、現行の38.5%から50%へと引き上げられる。日本とEPAを結んでいる国からの輸入は対象外だ。今回の措置の対象期間は8月1日から2018年3月31日まで。

  冷凍牛肉の主要対日輸出国は米国と豪州だ。日本とのEPAを締結している豪州は輸入数量が規定を超えても現行税率(27.2%)を維持できる。仮にTPPが発行していれば、16年12月に成立したTPP整備法が施行されていたため、今回の措置は回避できた。

  みずほ総研の菅原淳一主席研究員は、10月にも開かれる第2回経済対話の議題設定をしている中での発動を、「タイミングが悪い。米国の態度を硬化させる」と分析する。「日本は今回の措置をテコに米国に対してTPPの普及を働きかける可能性もあるが、米国は関税の引き下げそのものを求めてくるだろう」との見通しを示した。

  財務省によると、セーフガードの対象となるのは、冷蔵や生鮮も含む全輸入牛肉の2割程度。国産も合わせると総供給量の12%だ。干ばつの影響で豪州産の牛肉の価格が高止まりしていたことから、米国からの輸入が増加し、基準数量の超過につながった。EPA税率適用外の輸入3万7823トンのうち、米国産が2万8404トン、カナダが5096トン、ニュージーランドが3475トンだった。

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