経済財政諮問会議の民間議員を務める高橋進日本総合研究所理事長は、日本経済が潜在成長率を上回る状況にあることから、景気浮揚のための補正予算編成は必要なく、政府は構造改革の推進に注力すべきだとの考えを示した。

  高橋氏は25日のインタビューで、「足元で景気刺激を必要とする状況ではない。補正を組んでまで景気を持ち上げないといけない理由はない」と指摘。「成長を促進するためにピンポイントの政策はそうそうない」とし、「そういうものであれば当初予算で組まないといけない」と語った。

  輸出が堅調な中で消費が持ち直し、1-3月期の実質国内総生産(GDP)は、約11年ぶりに5期連続のプラス成長となった。潜在成長率0.8%に対し、2016年度の成長率は1.2%。高橋氏は近く発表される4-6月期GDPにも、これまでの経済対策の効果が現れるだろうとの見方を示した。

  一方で、安倍晋三内閣の支持率が低迷する中、政府・与党の一部から大規模な補正予算の編成で政権浮揚を求める声も出ており、2019年10月に予定されている消費再増税の延期論まで浮上している。安倍首相は8月早々にも内閣改造を断行し、政権の立て直しを図る方針だ。

  大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は27日の電話取材で、市場参加者に財政出動を期待する向きは少ないと述べた。「そもそも景気が悪いのが問題では全くない」とし、仮に財政出動しても、首相が「ぞんざいな答弁をしたり、閣僚が失言をしたり、あるいは強引に法案を通そうとすれば全く状況は変わらない」との見方を示した。

  前年度予算の税収は当初見込みを下回り、補正予算の十分な財源もない。高橋氏は、公共事業を中心とした旧来型の経済対策を行うための国債の追加発行には否定的な考えを示した上で、「個人的には構造改革をきちんとやってもらいたい。その方が支持の回復につながる」と述べた。

  高橋氏は政府が掲げる「20年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標」と「債務残高対GDP比の安定的な引き下げ」の2つの財政健全化目標の重要性も指摘。「PBだけに縛られていたのでは必要な歳出もできなくなるので、ある程度柔軟にやるべきだ」としながらも、「いつまでもできるわけではない。当然一緒に構造改革をやって成長率を上げるということだ」と語った。

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