日本銀行の中曽宏副総裁は、できるだけ早期に2%の物価目標を実現するよう、現在の強力な金融緩和を「粘り強く推進していく」と述べるとともに、金融政策と政府による政策がしっかりとかみ合うことが「持続的な成長軌道に戻す道を開く」として、政府の対応に期待を示した。

  中曽副総裁は26日午前、広島市内で講演し、物価は景気の改善度合いに比べて弱めの動きとなっており、「2%の実現までなお距離がある」と指摘した。その上で、日銀としてこの点を「しっかりと受け止める必要がある」と述べた。

  物価の先行きについては、マクロ的な需給ギャップが着実に改善していく中、企業の賃金・ 価格設定スタンスが「次第に積極化してくる」上、中長期的な予想物価上昇率も価格引き上げの動きが広がるにつれ、「着実に上昇する」との見方を示した。

  日銀は20日の金融政策決定会合で現状維持を決定。併せて公表した展望リポートで、物価上昇率の2%達成時期を「18年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。2013年4月に2年をめどに目標の実現を宣言してから、達成時期の先送りは6回目。黒田東彦総裁は同日の会見で、労働需給のひっ迫や高水準の企業収益に比べ、 企業の賃金・価格設定姿勢が「なお慎重なものにとどまっている」と述べた。

ETF購入なお必要

  中曽副総裁は講演後に行った記者会見で、年間6兆円規模で行っている指数連動型投資信託(ETF)の買い入れについて、2%物価目標をできるだけ早期に実現するために「なお必要」と述べるとともに、「個別銘柄に偏った影響が生じないように工夫している」と語った。

  日銀の巨額のETF購入には、全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)が13日の会見で「さまざまな課題も指摘されている」と発言。日本取引所の清田瞭最高経営責任者(CEO)も12日のインタビューで「いつまでも日銀が買っていることが前提になってしまうのは長い目で良くない」と述べるなど、懸念の声が上がっていた。

  中曽副総裁は2%の達成時期が6回にわたり先送りされたことについては、「当局として真摯(しんし)に受け止めたい。批判は率直に受け止める」と語った。

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