世界のどこでも空港では検査待ちの長い行列でうんざりさせられる。永遠に工事が続いているニューヨーク周辺の空港に比べれば、ミュンヘンやソウルといったモダンなハブ空港はまだましかもしれない。

  だが2040年代になれば、そんな煩わしさは無縁となりそうだ。ターミナルへは自律走行車で移動、搭乗客の顔や目、指紋がスキャンされ、荷物には恒久的な認証番号が付与される。空港が都市の郊外に追いやられることもなくなるかもしれない。都市の一部となった空港に、旅行の計画がなくても、食事や映画・コンサート鑑賞、買い物のため訪れるようになるのだ。

将来のチャンギ空港の人工庭園(案)
将来のチャンギ空港の人工庭園(案)
Source: Corgan

  シンガポールを見れば、空港が今後20年間にどのような変貌を遂げるのかが垣間見える。業界のパイオニア的存在であるシンガポール(チャンギ)国際空港は最近、さらなるイノベーション(技術革新)を追求するため「リビング研究所」を開設。同空港は今年3月、スカイトラックスのランキングで5年連続で世界最良の空港に選ばれている。

  米オハイオ州立大学航空研究センターのディレクター、セス・ヤング氏は、いつの日か空港内のあらゆる人々の動き全てを空港が把握することになると予測する。目標は「検査ブースの雰囲気を感じさせずに、入り口から搭乗ゲートまで人々を継続に検査するセキュリティーインフラ」の展開だという。「99.9%の乗客に問題がないことが分かっているのに、その乗客の検査になぜ無駄な時間を費やしているのか」と述べる。

大連国際空港のデザイン(中国)
大連国際空港のデザイン(中国)
Source: Corgan

  米ダラスに本社を置く建築・設計会社コーガンの航空業界責任者ジョナサン・マッセー氏は「空港は今はまだ通り過ぎる場所であって、とどまる場所ではない。ターミナルを小さな都市に進化させる必要がある」と語る。

  チャンギ空港第1ターミナルでは拡張工事が進んでいる。19年早期開業予定の「ジュエル」だ。5階分の建物の中に何千もの木々や植物が生い茂るこの人工庭園では、40メートルの光と水のディスプレー「レイン・ボルテックス」が華やかさを添える。21年の完了が見込まれるヘルシンキ国際空港第2ターミナルの拡張でも室内庭園が盛り込まれ、そのデザインにはジュエル同様のテーマがうかがえる。

  チャンギ空港の売店収入は昨年5%増えて過去最高を更新し、21億6000万シンガポール・ドル(約1760億円)に達した。発着数と利用者数で世界一忙しい空港と言われる米アトランタ(ハーツフィールド・ジャクソン)国際空港でも記録を塗り替え、16年に10億米ドル(約1120億円)を突破した。

ヘルシンキ国際空港のデザイン画
ヘルシンキ国際空港のデザイン画
Source: Finavia

  ヤング氏は、出発・到着・乗り継ぎのいずれも迅速にできるように「空港側は効率性を高めたい」と指摘する一方、「空港に人々が滞在するのも大歓迎だ。お金を落としてくれるからだ」と話している。

原題:The Airports of the Future Are Here(抜粋)

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