米マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士号を持つヘッジファンドマネジャー、デズモンド・ラン氏は、プラス21%の平均リターンを過去4年で実現したが、この運用成績を生んだ背景を探ると意外なモノにたどり着く。「藻類を培養するシャーレ」だ。

  ラン氏(37)は人工知能(AI)技術と伝統的な生物学を組み合わせ、先物取引に活用する新手のクオンツだ。ターフェット・キャピタル・マネジメントは規模こそ小さいが、同氏の野心は大きい。自然界で最も複雑な体系の一つとされる生体細胞の研究が、金融市場の秘密を解き明かす際に有利に働くという。

  クオンツブームがヘッジファンドの在り方を一変させつつあるが、コンピューターを駆使するラン氏のような生物学者は遅れてやってきたクオンツといえる。最初に業界をかく乱したのは物理学者や数学者であり、統計モデルやニューラルネットワーク、マシンラーニング(機械学習)といった彼らのツールは成功と失敗がほぼ拮抗(きっこう)する状態。ラン氏の場合は、細胞の神秘を解明するために自ら開発したアルゴリズムに由来するAIが武器だ。

  このアイデアは、投資戦略というより高尚な学術論文のテーマのように聞こえるが、ラン氏のAIは、運用成績が市場の平均的パフォーマンスを上回っているという大きな違いがある。同氏のマシンラーニングのシステムは、グローバル指数の上げ下げの原動力となっている要因の解明を目指し、数千の証券と商品、指数から数万件の価格(クオンツ用語ではノードという)を解析する。6月末時点の最大の投資には、FTSE100指数のロングとMSCI新興市場指数のショートが含まれるという。

  
原題:Hedge Fund Quant Posting 21% Return Says Biology Is Secret Sauce(抜粋)

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