欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドル安・ユーロ高、ロシア疑惑捜査やECB政策が材料

  20日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落し、ユーロが上昇した。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の発言に加え、昨年の米大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏陣営とロシアとのつながりに関する捜査がトランプ氏や関係者のビジネスにまで広がったとの報道が材料視された。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%下落。モラー特別検察官がロシア疑惑捜査の対象を拡大したと報じられた後に短時間で大きく下げ、11カ月ぶりの低水準となった。ユーロは対ドルで1%高の1ユーロ=1.1631ドル。ドルは対円で0.1%下げて1ドル=111円91銭。一時は6月27日以来の安値となる111円48銭まで下げた。

  ドラギECB総裁は量的緩和について、その将来の軌道を巡る協議を秋以降に持ち越すことにしたと発言。これを引き金に、まずユーロが上昇した。その後、ロシア疑惑捜査を巡る報道を受けてドルが売りを浴びた。ドルには今週初めから、トランプ政権の政策課題行き詰まりを懸念して下落圧力がかかっていた。

  ドラギ総裁は、インフレはECB目標水準にいずれ達するはずだとに自信を示し、経済見通しについても前向きな姿勢をのぞかせた。これを受けてユーロは対ドルで上伸し、一時は1.1658ドルをつけた。ドラギ総裁記者会見の後にアナリストらは、ユーロには2015年8月につけた1.1714ドルまで上昇余地があるとの見方を示した。

  その他の通貨では、ポンドがドルに対し一時約1週間ぶりの安値となる1ポンド=1.2933ドルまで下げた。ロンドンを拠点とするトレーダーらは、このポンド下落について、ニュースに反応したのではなく、売買注文が原動力だったようだと指摘。その後、ポンドは値を戻した。
原題:Dollar Sinks, Euro Hits 23-Month High on ECB, Mueller Probe (抜粋)

◎米国株:S&P500種はほぼ変わらず、ナスダック3日連続最高値

  20日の米国株市場ではS&P500種株価指数がほぼ変わらず。ナスダック総合指数は3日連続で最高値を更新した。投資家は企業決算と経済統計を手掛かりにした。

  S&P500種株価指数は0.1%未満下げて2473.45。ダウ工業株30種平均は28.97ドル(0.1%)下げて21611.78ドル。ナスダック総合指数は0.1%上昇して6390.00。

  S&P500種業種別11指数によると、エネルギー株は一時の上げを失った。素材株も安い。電気通信サービスや公益事業、ヘルスケア関連株はいずれも上昇した。

  米大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏陣営とロシアとのつながりを捜査しているモラー特別検察官が捜査の対象を拡大していることが伝えられると、取引高は一時急拡大した。

  関係者の話によれば連邦捜査局(FBI)などの捜査官は、トランプ氏の高層マンションをロシア人に売却した取引や、ロシア関係者と共同開発したホテル「トランプ・ソーホー」へのトランプ氏の関与、モスクワで2013年に開催された「ミス・ユニバース」、トランプ氏が2008年にフロリダ州の豪邸をロシアの富豪に売却した件について調べている。 

  米労働省の発表によると、先週の米週間新規失業保険申請件数は前週比1万5000件減の23万3000件。ブルームバーグがまとめた市場予想は24万5000件だった。 

  ブラックストーンは下落。同社4-6月(第2四半期)の1株利益はENI(未実現利益を含む経済的純利益)ベースで59セント。市場予想は62セントだった。

  キーコープは下落。4-6月業績は概ね市場予想と一致したものの、2017年通期の融資見通しが失望感を誘った。

  アマゾン・ドット・コムは上昇。グーグルが開発し開発者に人気のソフトウエア・ツール「クーベルネイテス(Kubernetes)」に基づくクラウドサービスの開発を検討していると、ハイテク情報サイトのジ・インフォメーションが事情に詳しい関係者2人の話として報じた。
原題:Stocks Inch Higher as Trump Probe Said to Widen: Markets Wrap(抜粋)
Mueller Said to Expand Probe to Trump Business Transactions (2)(抜粋)
U.S. Stocks Steady With Earnings Amid Jobs Data, Trump Inquiry(抜粋)  

◎米国債:10年債は小じっかり、TIPS入札低調で上げを縮小

  20日の米国債市場では、10年債がこの日の高値から引けにかけて値を消す展開。低調な10年物インフレ連動債(TIPS)入札が手掛かりとなった。

  10年物TIPS入札では、最高落札利回りが発行前取引の利回りを5.7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回ったほか、落札全体に占めるプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の割合が2014年9月以降で最大となった。

  ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて2.26%。  

  10年債TIPS入札(発行額130億ドル)の結果は、最高落札利回りが0.489%となった。需要を測る指標の応札倍率は1.98倍と、過去3回の平均(2.41倍)を下回り、08年7月以来の低水準。

  落札全体に占めるプライマリーディーラーの比率は39.5%と、14年9月以降で最高。間接入札者の比率は52.5%に低下。プライマリーディーラー以外の直接入札者の比率は8%だった。

  午前中の取引では、欧州債やドル・円相場の動きが大きく影響。またブロック取引での買いや、モラー米特別検察官がトランプ大統領のビジネスにも捜査網を広げているとの報道を受けた逃避の流れも、米国債相場を支えた。
原題:U.S. Treasury Sells 10-Year Indexed Notes at Yield of 0.489%(抜粋)
原題:UST 10Y TIPS Auction Tails; Primary Dealer Award Surges(抜粋)
原題:Treasury Gains Erased After Poor TIPS Sale, Late USD/JPY Advance(抜粋)  

◎NY金:上昇、トランプ氏捜査拡大の報道で逃避需要の買い

  20日のニューヨーク金先物相場は上昇。

  備考:モラー特別検察官、トランプ氏のビジネスに捜査網広げる-関係者 (1)。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は前日比0.3%高の1オンス=1245.50ドルで終了。一時は0.6%下落する場面もあった。

  「モラー氏が捜査範囲をトランプ氏のビジネスにも拡大するとの予想外の報道を受け、金は一気に上昇した。同捜査が再びニュースになっている」-BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の卑・貴金属トレーディング責任者タイ・ウォン氏。「これを引き金にトランプ大統領が強烈な批判や衝動的な行動に出る可能性があり、一部投資家によるショートカバーの動きにつながっている」。

  銀先物9月限も上昇。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のパラジウム先物は下落、プラチナは上昇。
原題:PRECIOUS: Gold Rises as Widening Trump Probe Fuels Haven Demand(抜粋)

◎NY原油:反落、北海ブレントの50ドル突破後に失速

  20日のニューヨーク原油先物市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は反落。北海ブレントが6週間ぶりに50ドル台に上昇した後、勢いを失った。

  コンフルエンス・インベストメント・マネジメント(セントルイス)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は「ポジショニングが膨らんでいる。ブレントの50ドル突破は、買い持ちにしていた参加者に『あすは休みにするので、利益を確定して帰宅しよう』と考えさせたのだろう」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比33セント安い1バレル=46.79ドルで終了した。同限月はこの日が最終取引日だった。中心限月の9月限は40セント安の46.92ドルで終えた。ロンドンICEの北海ブレント9月限は40セント下落の49.30ドル。6月7日以来、初めて50ドルを上回る場面もあった。
原題:Brent Loses Steam After Rising Above $50 First Time in Six Weeks(抜粋)

◎欧州株:下げに転じる-ECB総裁発言に伴うユーロ高で

  20日の欧州株式相場は一時の上げを消し、反落して終了。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の発言を手掛かりにユーロ高となり、輸出企業が打撃を受けるとの見方が広がった。

  指標のストックス欧州600指数は前日比0.4%安の384.07で引けた。ドラギ総裁が政策委員会後の記者会見で、債券購入プログラムの変更に関して秋の会合で議論すると発言。これを受けて、同指数は一時0.5%に達していた上げを消した。ユーロは1%高と、主要16通貨の中で上昇率首位となった。

  ETXキャピタルの市場アナリスト、ニール・ウィルソン氏はリポートで、「ドラギ総裁は相当ハト派的だったが、ユーロ強気派を完全に抑え込んでおくことはできなかった」とし、「政策委員会が秋にテーパリングを協議する公算が大きいと口を滑らせた」と指摘した。
  ストックス600指数の業種別指数の中で、鉱山株と旅行関連銘柄の下げが目立った。

  個別銘柄では、スウェーデンのノルデア銀行が5.2%安。四半期利益が予想に届かなかったほか、ストックホルムから本社を移転するかどうかの判断を先送りしたことが売り材料。スイス重電のABBは2.8%値下がり。商品価格の上昇と一部事業の余剰生産能力が利益を圧迫した。

  一方、フィンランドの発電プラント・船舶推進措置メーカーのバルチラと、スウェーデンの鉱山会社ボリデンが4%を超える上げとなった。それぞれの第2四半期利益が予想を上回ったことが好感された。
原題:European Stocks Drop as Euro Climbs on Draghi’s Timing Comment(抜粋)

◎欧州債:周辺国債が上昇、ECB総裁のハト派的発言で

  20日の欧州債市場ではドイツ10年債利回りが1bp低下。周辺国債とフランス国債は比較的堅調となった。ドラギECB総裁の記者会見での発言がハト派的だったことが背景にある。

  ドラギ総裁はテーパリングのシナリオはまだ議論されていないと論じ、金融環境の引き締めを全く望んでないと発言。国債購入縮小の見方を後退させたと受け取られた周辺国債は大幅上昇し、スペインとイタリアの10年物利回りはそれぞれ約7bp下げた。

  フランス国債も中核国債のパフォーマンスを上回り、中核国債に対する長期債の利回り上乗せ幅は1-2bp縮まった。最近のデータでもECBの国債購入でフランス国債の割合が引き続き出資比率を上回っていることから、より寛大なテーパリングはとりわけ同国債に有利となる可能性がある。
原題:Dovish ECB Gives Peripherals Lift; End-of-Day Curves, Spreads(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE