夏季と冬季の大会が2年おきに開催される五輪は、世界中の人々にとって2週間ほど続くお祭りだ。2016年のリオデジャネイロ夏季大会も盛り上がったが、五輪と国際オリンピック委員会(IOC)は大きな問題を抱えている。開催候補地の住民に不人気な点だ。

  IOCは2年前、北京を22年冬季大会の開催地に選出。競合都市はカザフスタンのアルマトイだけだった。オスロとストックホルム、スイスのサンモリッツ、ポーランドのクラクフ、ウクライナのリビウが相次いで撤退し、結局2都市しか残らなかった。24年夏季大会も当初は多くの都市が開催を目指していたが、ブダペストとローマ、ハンブルク、ボストンが地元の反対で立候補を辞退。最終的にはパリとロサンゼルスが競い合うことになった。

2016年リオデジャネイロ五輪・パラリンピックの水泳会場(2017年5月27日撮影)
2016年リオデジャネイロ五輪・パラリンピックの水泳会場(2017年5月27日撮影)
PHOTOGRAPHER: BUDA MENDES/GETTY IMAGES

  7月11日にスイスのローザンヌで開いた臨時総会でIOCは、パリとロサンゼルスを24年と28年の夏季大会に振り分ける提案を満場一致で承認。本来の手順は7年後の大会の開催地を決めるというもので、1回の総会では1つの大会開催地しか決まらないはずだが、IOCは苦肉の策に頼るほかなかった。

  ドイツ出身のトーマス・バッハIOC会長は以前、「屋根の上の1羽の大きな鳥より、手のひらの上の1羽の小鳥の方がいい。こんなことわざがドイツにはある。われわれの手のひらには2羽の大きな鳥がいる」と語っていた。 

  各都市の間では五輪・IOCは金食い虫で、開催地に残されるのは骨と皮だけとの見方が一段と強まっている。リオ大会閉幕後、運営組織側は数カ月にわたり債務返済に苦しみ、債権者に大会で使用したエアコンを現金の代わりに提供。五輪会場だった場所は今、閑散としており、150億ドル(約1兆6800億円)に膨らんだ建設コストに絡んだ汚職を巡り検察当局が捜査している。

  04年に夏季大会を開いたアテネと14年冬季大会を開催したロシアのソチでも無用の長物と化した五輪施設があちこちで見られる。ソチ大会のためにロシアは前代未聞の510億ドルを投じた。五輪の歴史を研究し、五輪に関する共著もあるロバート・バーニー氏は「大会ごとに問題が大きくなっている」と話す。

  IOCはパリとロサンゼルスをつなぎ止めることで、開催都市が五輪から利益を得られるようビジネスモデルを改善させるための時間稼ぎをしようとているのかもしれない。だがそんなことは可能だろうか。夏季大会には選手1万1000人とコーチ5000人が参加するほか、大会役員や企業スポンサーのために宿泊施設4万2000室が必要となる。世界中からメディアが集まり、軍や警察、民間を含めた2万人体制の警備も求められる。

  五輪を巡る評判は散々だが、IOC自体がすぐに破産することはない。コカ・コーラやトヨタ自動車、サムスン電子などのグローバルスポンサーは4年ごとに10億ドルを提供しており、この額は21年に始まる4年間では倍となる予定だ。世界人口の半数を若干下回る推計32億人が16年夏季大会の少なくとも一部を視聴。米NBCは32年までの8大会のために100億ドル余りの支払いを約束している。

  IOCは9月にリマで開く総会で、2大会の開催都市を決定する方針だ。パリであれロサンゼルスであれ、テロの脅威や交通渋滞など問題がないという保証はない。だが両都市は少なくとも夏季五輪招致に資金を派手に投じる必要はないため、比較的リスクは低い。今のところパリは24年の開催を断固として主張する一方、ロサンゼルスは待ってもいいとの意向をにじませている。

原題:The Olympics Aren’t Good for Cities, So Can the Magic of the Games Survive?(抜粋)

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