東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=112円付近で推移。米国の政策不透明感や低金利長期化観測を背景にドルの上値が重い展開が続いた。

  19日午後4時18分現在のドル・円は前日比ほぼ変わらずの112円04銭。朝方に111円88銭まで弱含んだ後、日本株のプラス転換を背景に下げ渋った。午後には112円23銭まで値を切り上げる場面もあったが、ドル買いは続かなかった。前日の海外市場では米ヘルスケア法案の行き詰まりを嫌気して111円69銭と3週間ぶりの水準までドル安・円高が進んでいた。

  あおぞら銀行市場商品部為替マーケットメイク課長の渡辺秀生氏は、先週のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言、弱い消費者物価指数(CPI)、オバマケア代替法案頓挫の可能性とドル安要因が続いており、ドル・円の戻りは鈍いと指摘。「200日線や一目均衡表の基準線などが集中する111円台後半を明確に下抜けるかがポイント。ただ、足元は材料的にそこを後押しするものもない」と話した。

  一方、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会を前にユーロ高が一服。前日の海外市場で1ユーロ=1.1583ドルと昨年5月以来の高値を付けたユーロ・ドル相場は1.15ドル台前半へ水準を切り下げた。ユーロ・円相場も1ユーロ=129円台半ばから129円台前半へ弱含んだ。

  ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、ECBは債券購入ペースを落とす方針を今回は示さず、9月まで待つ公算が大きい。ECBは20日に金融政策を発表し、その後ドラギ総裁が会見を行う。

  三菱東京UFJ銀行のグローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、「ECBは原油安や通貨高の中で、物価見通しに関しては慎重な言い回しになりそう。明日は景況感の改善や行き過ぎた緩和の巻き戻しなどに言及しつつ、明確な正常化のシグナルは示さないだろう」と予想。「その意味で、ユーロは前のめりになった分の調整が見込まれる」と話した。

  ドラギ総裁が6月27日の年次フォーラムで「デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」と発言して以降、ユーロは対ドルで約3%上昇している。
  
  日本でも19日から2日間の日程で日本銀行の金融政策決定会合が始まった。金融政策は現状維持の見通しで、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では物価見通しが下方修正されるとみられている。

米中経済対話

  この日はワシントンで米中包括経済対話が開催される。ロス商務長官は18日、米中ビジネス協議会主催のイベントで、「是正に取り組む必要がある深刻な不均衡が残っている」と指摘した上で、「われわれの貿易・投資関係をよりフェアで公正、互恵の方向へとバランスを取り戻す時だ」と述べた。

  内田氏は、北朝鮮情勢で中国の協力が見えない中、米国が「為替をちらつかせながら強硬な態度、もしくは厳しい態度を示す可能性がある」と指摘。「トランプ大統領も国政での失態をカバーするために対外政策で挽回したい狙いが働きやすく、ドル高けん制やドル安志向をにおわすようなことがあると、ドルに重しになりそう」と語った。

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