日本銀行は長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)政策の下で、10年債利回りをゼロ%近傍で抑える姿勢を鮮明にする中、市場では中期債の金利上昇については容認する可能性があるとの見方が出ている。

  世界的に金利上昇圧力が強まる中、国内でも新発10年物の347回債利回りが一時0.105%と、2月3日以来の水準に上昇した今月7日。日銀は午前の金融調節で、残存期間5年超10年以下の買い入れ額を前回の4500億円から5000億円に増額し、同ゾーンを対象に指定した金利水準で無制限に買い入れる指し値オペを実施した。こうした異例の措置を受けて、10年金利の上昇を抑制する強い意思が示されたと市場参加者は受け止めた。

  中期ゾーンの金利も上昇基調を強めて、新発5年物の132回債利回りは10日に一時マイナス0.035%と、昨年1月以来の高水準に達した。しかし、日銀は指し値オペではなく、12日の通常オペで残存3年超5年以下の買い入れ額を前回から300億円増額するにとどめた。5年債利回りが昨年11月実施の指し値オペ水準(マイナス0.04%)を抜けても、最終手段を講じなかったことで、金利上昇を容認しているとの指摘も聞かれている。

  三菱UFJ国際投信の加藤章夫トレーディング部長は、「日銀は操作目標である短期と10年の金利上昇をきっちりくぎ付けできれば、真ん中にある5年金利については多少振れてもいいと考えているようにみえる」と指摘。「10年を抑えておけば、5年金利の上昇余地はおのずと限られるとみているのではないか」とし、「少なくともマイナス0.04%で必ず止めるという意思はないと見受けられ、限界はゼロ%程度」との見方を示した。

  日銀は昨年9月、10年金利をゼロ%程度に誘導するとともに短期金利は日銀当座預金のうちの政策金利残高にマイナス0.1%を適用するYCC政策を導入。その後の大幅な金利上昇局面では、昨年11月に中期ゾーン、ことし2月と今月7日には長期ゾーンの指し値オペをそれぞれ実施している。

  日銀が6月に開いた債券市場参加者会合では、低金利、低ボラティリティという状況が長引くのであれば、今後も日本国債には投資しにくいと考えているなどの意見があった。

市場関係者の見方

◎三菱UFJ国際投信の加藤章夫トレーディング部長

  • ことし2月までの指し値オペを見ると、かなり細かくイールドカーブをくぎ付けする意図がみえたが、そこは少し柔軟に変えたのではないか 
  • 守るべきは10年と短期金利、5年についてはマイナス0.04%を絶対に超えさせないという意思は相対的に弱いのではないか

◎ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャー

  • あまり景況感に反していなければ、5年金利はゼロ%近くまで上昇しても良いと思う
  • 足元のインフレは全般的に落ち着いているが、景気自体は上向いている状況下でコントロールの範囲外の金利が上がることに不快感は持っていないとみられる

◎三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミスト

  • 操作目標が短期金利マイナス0.1%、10年金利がゼロ%なので、5年金利がマイナス0.035%にあるのは特段不思議はない
  • 5年金利がゼロ%を超えて10年金利が押し上げられれば、日銀は10年を止めるとみられる
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