電気自動車(EV)の国内ベンチャー企業、GLMは香港の投資会社オーラックスホールディングス(HD)の傘下に入り、開発中の高級スポーツカーや車台(プラットホーム)を、EV化が加速する中国や欧州市場などに向けて販売していく計画だ。

小間裕康社長
小間裕康社長
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  GLMの小間裕康社長は11日、本社を置く京都市内でのインタビューで「メーンターゲットである中国市場を中心に、急いで体力を付けていかないといけない段階に来た」と話した。EVは開発競争が激化し、大手メーカーも参入しているため、資金調達を急ぎ、開発を加速する必要があるという。調達可能な資金額を考えると、香港の投資会社の傘下入りは東証マザーズへの上場を目指すよりも「われわれの成長にとっては大きなプラスになるだろう」と述べた。

  オーラックスHDの公表資料によると、総額約8億9698万香港ドル(約128億円)でGLMの株式やオプションを取得することで合意した。GLM株式の保有割合は85.5%となり、その後全株式を取得し完全子会社化する。中国の新興家電メーカーのTCLインダストリーズなどからも新たに出資を受ける。

  GLMの子会社化は今年8月末までに実施し、小間社長をはじめとしたGLM経営陣はオーラックスHD傘下でEV事業を担当し、技術陣は引き続き開発に取り組む。事業拡大に合わせた本社移転も当初計画からは遅れたものの、年内には同じ京都市内に移転完了の予定だ。

開発中のEV「GLM G4」
開発中のEV「GLM G4」
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  GLMは2010年に京都大学の学内ベンチャーとして設立。トヨタ自動車出身のエンジニアらを採用してEVスポーツカー「トミーカイラZZ」を15年10月から量産している。想定価格4000万円のEVスポーツカー「GLM G4」は19年に量産予定で、これと同じプラットホームを活用した7人乗り乗用車の製造・販売にも取り組む。

国内部品会社と関係構築

  GLMは日産車体京都工場跡地内に開発拠点を置き、技術者16人を含め従業員が24人。国内部品メーカーと共に開発を進めてきた。小間社長は、新興メーカーながら国内部品メーカーとの関係構築は、海外進出の際もアピールできる優位性と強調する。この点がオーラックスHDに評価された「一つの要素だと思う」とも述べた。部品メーカーにはモーター関連の安川電機や、バッテリー関連のGSユアサなどがある。

  中国資本傘下に入ることについては、技術流出などを不安視する声が上がることを「すごく懸念していた」とも小間社長は明かす。実際に一部の国内部品メーカーからはそうした懸念も出たが、完成車やプラットホームといったパッケージ供給で技術流出を防げると理解を得られたと話す。安川電機など「重要なクライアントとの関係はある程度保てているのではないか」としており、現時点で取引停止などの影響はないという。

プラットホーム販売 

  GLMが重視するのはプラットホームをカーシェアといった自動車運行サービス事業者などにも幅広く供給するビジネスモデル構築だ。搭載するバッテリーやモーターは自社開発せず、それを制御するシステムに特化して他社と差別化する考えだ。

  小間社長はプラットホームの提供先として中国企業など国内外の10社程度と「具体的な話を進めている状況」としている。今後も特に中国では新興だけでなく既存メーカーもEVのラインアップを増やしていく流れが続くとみており、「われわれにとってはニーズがまだまだある」と話す。
  
  GLMを立ち上げたころの国内状況について、小間社長は「雨後の筍」のようにEVベンチャーが乱立していたという。その中で「われわれ1社だけが量産まできちんと道筋を立ててこられた」と自信を示す。一方、オーラックスHD傘下となると「事業を成功させないとドライに切られるのが当たり前」とも語った。

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