主要先進国の金利が上昇に向かう中で、日本銀行の利回り曲線操作は円安へのよりパワフルな政策ツールになっている。6月下旬の 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の発言を契機に高まったテーパリング開始観測による欧州長期金利の上昇で、円安傾向は対ドルよりも対ユーロでより顕著となっており、ユーロ円は2016年2月以来の130円超えとなった。日本との金利差とリスク選好の変化をベースにしたモデルでの試算結果は、両通貨、特に対ユーロでの行き過ぎた円安の可能性を示している。

  ブルームバーグ・インテリジェンスでは、米欧中銀が先行する金融引き締めを背景に中期的には緩やかな円安に向かうと想定している。一方、足元では、過度な円安調整のリスクは特に対ユーロで高まりつつある。「うわさで買って事実で売る」の格言通り、ECBのテーパリングや米連銀の公式声明が円安修正のきっかけとなるかもしれない。

•中央銀行からの量的緩和のペース減速やバランスシート縮小のサインは、短期よりも長期金利により強く影響する。
•6月27日のドラギ総裁の発言は、独国債のイールドカーブの急速なスティープ化につながった。そうした動きを受けて、米長期金利も好調な経済指標を背景に若干上昇したものの、独長期金利に比べると動きは限られた。
•一方、日銀の長短金利操作により、日本のイールドカーブはほとんど変化しなかった。長期金利の上昇の兆しの見えた7日には、2月以来の日銀による国債の指し値オペで金利上昇を抑えられた。こうした日独間の長期金利の差がユーロ円の急速な上昇につながったとみられる。

•また、イールドカーブの変化による為替への影響も、日銀のイールドカーブ操作の導入後高まっている。
•ブルームバーグ・インテリジェンスの試算によると、独国債の10年物-2年物のイールドカーブ・スプレッドが対日本国債で1ポイント上昇(独イールドカーブのスティープ化、もしくは円イールドカーブのフラット化)した際に、円は対ユーロで9%減価する傾向がある。日銀のイールドカーブ操作導入時(16年9月)の5%減価から影響は強まっている。
•米国債について同様の試算をすると、対ドルでは8%の減価となり、 昨年9月時の3%減価から拡大している。

•為替との相関が高いと言われる2年物国債の利回り格差は、6月の米連銀の利上げにも関わらず、ここ数カ月の変化は限定的で、今回の急速な円安への寄与は限られる。
•一方、危機時の円買いの巻き戻しの円相場への影響は、対ユーロで強まっている。米国S&P500株式指数のボラティリティ指数である恐怖指数(VIX)の1ポイント低下に対するユーロ円への影響は、昨年9月の0.12%円安から、7月7日時点で0.2%の円安に拡大している。

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JAPAN INSIGHT: Draghi in Focus as Yen Overshoots Versus Euro

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