13日の東京株式相場は、主要株価指数が前日終値付近でほぼ横ばいにとどまった。連邦準備制度理事会(FRB)議長が米国政策金利の大幅な引き上げは不要とし、世界的な流動性相場の持続期待がプラスに働く一方、日本株にとっては為替のドル安・円高リスクが重しとなった。

  米長期金利の低下が嫌気された銀行や保険など金融株が売られ、海運やゴム製品株など為替敏感業種も安い。半面、一部アナリストが評価したANAホールディングスなど空運株、NTTなど情報・通信株は堅調に推移し、相場全体を下支えした。

  TOPIXの終値は前日比0.23ポイント(0.01%)安の1619.11と小幅に続落。日経平均株価は1円43銭(0.01%)高の2万99円81銭と小幅に反発した。

  第一生命保険の岩渕康哉株式部長は、イエレンFRB議長の議会証言は「インフレ指標の低下は一時的としていたこれまでの発言から、インフレ率に注視する必要があると変化しており、ハト派的と捉えられる」と指摘。米金利の上昇が緩やかなら、「米国株は流動性が保たれ居心地が良いが、日本株はドル・円相場がやや円高気味となり、重しになる」と話した。

東証内
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Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  FRBのイエレン議長は12日、半期に一度行われる米下院金融委員会の公聴会で、米経済が向こう数年にわたり拡大を続けるとの認識を示す一方、当局として低過ぎるインフレ率を注視している点も強調した。政策金利については、経済における需要と供給の適度なバランスを保つ水準にする上で、「今後はそれほど大きく引き上げる必要はない」と指摘した。

  一段の金融引き締めはないとの見方からダウ工業株30種平均が最高値を更新、テクノロジー株の比率が高いナスダック総合指数は1%超上昇するなど、12日の米国株は上昇。野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「金利が緩やかにしか上がらず、一方で景気は良いため、いわゆる『ゴルディロックス』相場は続くと受け止めた」とみる。

  米国株高の流れを受け、きょうの日本株は上昇して始まり、日経平均は一時85円高まで買われた。その後は徐々に失速、円が強含んだ為替動向が投資家心理にマイナスの影響を及ぼした。きょうのドル・円は一時1ドル=112円80銭台と、前日の日本株終了時113円53銭からドル安・円高に振れた。12日の米10年債利回りは2.32%と4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 低下、13日の時間外取引でも低下した。

  大和証券の木野内栄治チーフ・テクニカルアナリストは、イエレン議長の発言内容は経済の「長期停滞論に回帰した印象。米景況感が加速しなければ、海外投資家による日本株の選好意欲は高まらない」と言う。その上で同氏は、「マクロ経済の成長が鈍いときにはグロースの集中相場となりやすく、今後日本株市場でもバリューからグロース相場への移行がさらに鮮明になる」と予測する。この日のTOPIXグロース指数は0.2%高、バリュー指数は0.3%安だった。

  このほか、日本株停滞の理由について第一生命の岩渕氏は、14日発表の米消費者物価指数(CPI)が重要と指摘。「原油価格も上昇しておらず、賃金も伸びていないため、2%超えは想定していないが、もし良ければ再び米経済に強気な見方へ変わる可能性もある」とし、「今慌てて日本株を買う理由はない」と話していた。

  東証1部33業種は海運や銀行、ゴム製品、保険、電気・ガス、その他金融など17業種が下落。ゴム製品では、JPモルガン証券がブリヂストンや住友ゴムの目標株価を下げた。空運やサービス、情報・通信、ガラス・土石製品、化学など17業種は上昇。空運は、野村証券が日本航空、ANAの第1四半期利益の伸びは通期計画を上回るとの見方を示したほか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2社の目標株価を上げた。

  売買代金上位では、一部報道をきっかけに監査法人による監査意見の不表明懸念が広がった東芝が安い。半面、上期営業利益が従来計画を上回った日本電気硝子や月次売り上げ好調のロームは上げ、東京エレクトロンやリクルートホールディングスも高い。

  • 東証1部の売買高は17億3957万株。売買代金は1兆9816億円、代金は前日に続き2兆円割れ
  • 上昇銘柄数は882、下落は994
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