米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は12日に下院金融委員会、13日には上院銀行委員会で半期に一度の証言を行う。12日午前8時半(日本時間同日午後9時半)に議長の証言テキストが公表され、いずれの公聴会も午前10時にスタートする。

  議員から想定される主な質問を次に挙げてみた。

Q:やや過熱気味の労働市場を容認することが賃金やインフレの押し上げに寄与するか、それともそれは物価圧力の急激な高まりや新たな資産バブルを生じさせるリスクとなるか。

  6月13、14両日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、失業率を「一定」の期間、長期的に正常とされる水準を下回ったままとすることにメリットがあると幾人かの当局者が考えていることが示された。FOMC参加者は先月公表した最新の経済予測の中央値で、このような長期的な水準を推計4.6%としていた。

  他の幾人かの当局者はこれに対し、失業率の「大幅かつ持続的」なアンダーシュートに伴う潜在的なリスクに懸念を表明。米失業率は今年これまで平均4.5%で推移しているが、賃金の上振れはあまりなく、インフレ率は過去5年間の大半を通じ当局の目標である2%を下回っている。

  実際、このところのインフレ指標では予想外の弱さが示されている。こうしたリスクを巡りイエレン議長の見解を聞き出すことができれば、FOMCの重心がどこにあるのかを明らかにし、引き締め策の維持についての切迫感を浮かび上がらせるのに役立つだろう。

Q:バランスシート縮小開始はいつになりそうか。

  米金融当局者は先月、連邦準備制度のバランスシート縮小に向けた詳細な計画を公表したが、開始時期は示していない。金融当局が利上げと同時に縮小に着手したいと望む公算は小さいというのがFRBウオッチャーの見方だ。このため、縮小開始の時期に関する手掛かりが得られれば、次の利上げがいつになりそうか市場が予想するのに手助けとなるだろう。フェデラルファンド(FF)金利先物市場の相場動向を踏まえると、バランスシート縮小開始は9月で、次回の利上げは12月にずれ込むと投資家は予想しているもようだ。

  当局者はこのほか、バランスシート縮小のプロセスをどの時点で打ち止めにするかに関しても計画を明らかにしていない。この結果、一段と正常な規模に戻すプロセスが完了した時点で、バランスシートはどの程度の大きさになっているかという疑問が残されたままだ。この点もイエレン議長に尋ねるべきだろう。

Q:米経済や金融政策の評価に当たり、金融市場の相場動向や金融情勢をどのように捉えているか。

  この種の質問が思い浮かんだきっかけは、一部の当局者が投げ掛けたバブル形成の可能性を巡る疑問だ。イエレン議長は先月、幾つかの基準から見て資産価格が「高いように見受けられるが、確信はない」と語った。議長発言に続き、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、投資家の間の油断に懸念を示すとともに、株式相場は「なおガス欠の状態で走り続けているようだ」とコメント。フィッシャー副議長は同じ日に、リスク志向の高まりに言及した。

  投資家の間ではイエレン、ウィリアムズ、フィッシャー3氏の発言を受けて、それが協調されたメッセージなのか、そして仮にそうであるなら、金融当局が伝えようとしているのは何なのか疑問が広がった。

  FRBが7日に議会に提出した半期に一度の金融政策報告でも、資産価格は取り上げられた。そこでは、「米国債や株式、社債、商業用不動産を含む広範な資産で、バリュエーションの圧力が一段と増した」と記された。

  金融政策という鈍器で効果的にバブルを抑制することはできないというのが、金融当局の過去の研究で導かれた結論だ。だが、2008-09年の金融危機につながったような失敗を繰り返したくないとの願いで、金融当局がこうした見解を再考しつつあるのか否か、何らかの洞察が得られれば、来年3回とした利上げ見通しを維持するかどうかの感触をより確かなものとすることができるかもしれない。

  FF金利先物市場を見ると、投資家が現在織り込んでいる18年の利上げ回数は1回だけ、ないし恐らく2回となっている。

原題:Yellen Heads to Congress Wondering Why Job Market Hot, Wages Not(抜粋)

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