日本銀行は中期ゾーンを対象とした国債買い入れオペを増額した。欧米の金融引き締め観測を背景とした金利上昇圧力に加え、中短期債は買い入れ減額による需給悪化懸念で新発5年国債利回りが昨年1月以来の水準まで上昇していたことが背景にある。

  日銀は12日午前10時10分の金融調節で、残存3年超5年以下を対象とした国債買い入れオペを前回より300億円増額の3300億円と通知した。3年超5年以下の増額は4400億円まで引き上げられた昨年4月以来で、その後は減額方向だった。一方、残存1年超3年以下は2800億円、前回増額された残存5年超10年以下も5000億円にそれぞれ据え置かれた。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、残存5年超10年以下の買い入れを5000億円に据え置く一方で、3年超5年以下を増額したことについて、「日銀としてはターゲットの10年金利の上昇を抑えるために、震源になっていた5年金利を止めに行くという姿勢を明確にした」と指摘した。

  新発5年国債の132回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から横ばいのマイナス0.04%で取引されている。10日にはマイナス0.035%と昨年11月の指し値オペ水準のマイナス0.04%を上回り、日銀がマイナス金利政策の導入を決定した昨年1月29日以来の水準まで売られていた。

  7日の金融調節では、残存5年超10年以下の長期ゾーンを対象に、国債買い入れの増額と5カ月ぶりとなる指し値オペが実施された。長期金利が前回同オペが発動された2月以来となる0.105%まで上昇し、誘導目標の「ゼロ%程度」からかい離したためだ。買い入れの固定利回りは前回と同じ0.11%で提示され、応札額はゼロだった。

  日銀が先月末に発表した7月の国債買い入れオペの運営方針では、中期ゾーンについて、1回当たりのオファー額のレンジが1年超3年以下で2000億~3000億円程度、3年超5年以下で2500億~3500億円程度となっている。

中期ゾーンの金利抑制

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、中期ゾーンの金利上昇を抑える姿勢を示したことは一定の評価ができるとする一方、「もうちょっと大きく増額すると思っていたが中途半端」と指摘。「増やした状態をしばらく維持して需給が改善すればいいが、また利回りが上がるようならさらに増額する余地もあるということ。オペの結果も応札倍率が高め」と言う。

  この日の中期ゾーンのオペ結果によると、残存3年超5年以下の応札倍率は3.69倍と、前回5日の3.87倍をやや下回る水準だった。

日銀国債買い入れオペ結果はこちらをご覧下さい。

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、5年金利に対する指し値オペが見送られたことについては、「10年債利回りが守られている上、ボラティリティの上昇を伴って相場が荒れているわけでもなく、意識しておいてくれればよいということか」と指摘。一方で「金利を下げたいなら、むしろTB(国庫短期証券)や2年債の金利を下げないといけない」との見方を示した。

  日銀は昨年9月に長短金利操作(イールドカーブコントロール)を導入して以降、TBの買い入れ残高を毎月おおむね2兆円程度のペースで減額。残存1年超3年以下の国債買い入れ額も3月以降減らし、4000億円だったのが直近では2800億円となっている。このため、TB3カ月物利回りがマイナス0.09%台、新発2年国債利回りも先月に一時マイナス0.09%と、日銀当座預金の政策金利マイナス0.10%を上回った。

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