債券市場では先物相場が上昇。前日の米国債相場が続伸したことに加えて、日本銀行が中期ゾーンの国債買い入れオペを増額したことで買いが優勢になった。米国のトランプ政権に対する不透明感から円高・株安が進む中、超長期ゾーンの利回りが低下した。

  12日の長期国債先物市場で中心限月9月物は前日比1銭高の149円79銭で取引を始め、午前のオペ通知後に149円87銭まで買われた。午後は149円92銭まで一段高となり、結局は10銭高の149円88銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀が市場の予想通り中期ゾーンの金利上昇を抑える姿勢を示したことは一定の評価。トランプ政権の問題で円高・株安にに振れていることもフォローだ」と指摘。「20年入札を翌日に控えて上値が重い面もあるが、入札自体は無難に消化するだろう」との見方を示した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の347回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.09%で取引を始め、その後も同水準で推移した。新発5年物の132回債利回りも横ばいのマイナス0.04%で推移し、新発2年物の378回債利回りは0.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.11%に買われた。

日銀オペ

  日銀はこの日実施した国債買い入れオペで、残存「3年超5年以下」を前回より300億円多い3300億円に増額した。同ゾーンの増額は昨年4月以来となる。一方、残存「1年超3年以下」は2800億円、前回増額された「5年超10年以下」は5000億円にそれぞれ据え置かれた。応札倍率は「1年超3年以下」と「3年超5年以下」が低下した一方、「5年超10年以下」は上昇した。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、今回のオペ増額について、「操作ターゲットとなる10年金利の上昇を抑えるために震源となっていた5年金利を止めにいく姿勢を明確にした」と指摘。「イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言など海外金利の先高観が警戒される中で先手を打った」との見方も示した。

過去の日銀オペの結果はこちらをご覧ください。

  11日の米国市場では10年国債利回りが前日比1bp低い2.36%に低下し、この日の時間外取引では2.34%台まで買われている。米トランプ政権とロシアとの関係を巡る不透明感が強まり、リスク回避的な買いが入った。FRBのブレイナード理事が追加利上げに慎重な姿勢を示したことも買い材料となり、この日のイエレン議長の議会証言に注目が集まっている。

  東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=113円台前半までドル安・円高が進行したほか、日経平均株価は0.5%安の2万98円38銭で引けた。

  超長期ゾーンでは、入札を控えた新発20年物161回債利回りが1bp低下の0.625%、新発30年物55回債利回りは1.5bp低い0.89%までそれぞれ下げた。

  岡三証の鈴木氏は、20年債入札について、「もともと幅広い投資家から需要がある年限で、これまで通り入札は無難だろうが、かと言って金利低下要因もあまりないので上値を買う人はいない状況が続きそうだ」と言う。

  財務省は13日、20年利付国債の価格競争入札を実施する。161回債のリオープン発行となり、表面利率は0.6%に据え置かれる見込み。発行額は1兆円程度となる。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE