参院選で歴史的大敗、内閣改造で政権浮揚を図るが、最終的には体調を崩して退陣-。第1次安倍晋三政権が2007年夏から秋にかけてたどった末路だ。都議選惨敗後も支持率低下が続く政権の現状は当時をほうふつとさせるが、野党の弱体化と自民党内で有力な後継候補の不在で政権は継続される見通しだ。

  東京大学政策ビジョン研究センター講師の三浦瑠麗氏は、当時と違って野党第1党の民進党が「相当弱い」ことから、「だいぶ当時と状況が違う」と指摘。その上で、「安倍さんをさらに上回る人気を獲得できる総理、総裁候補が今、自民党の中にいない」ことから、来年9月の任期満了に伴う「総裁選含めて選挙なしに首相が交代するというのはあり得ない」と語った。

  2日の東京都議選で自民党の獲得議席は過去最低の23にとどまった。約1週間後に報道各社が行った世論調査では日本テレビ系のNNNが31.9%、朝日新聞が33%、NHKが35%、読売新聞が36%と12年12月の第2次安倍政権発足以降で最低水準となった。いずれの調査でも不支持が支持を上回り、読売では52%となっている。

  自民党の二階俊博幹事長は11日の記者会見で、内閣支持率低下について「都議選の結果の延長線に今はあるわけで、多少のことはやむを得ない」と指摘。その上で、「必ず信頼回復に全力を尽くして近いうちに反転攻勢のばねにしていきたい」と述べた。

  安倍首相は来月早々に内閣改造を断行し、政権の立て直しを図る構えだ。共同通信は12日、首相が8月3日にも実施する内閣改造で、閣僚19人の半数以上を入れ替える方向で検討に入ったと報じた。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官は留任させる意向を示している。

民進党

  07年の参院選では旧民主党が60議席を獲得して躍進。参院で与党を過半数割れに追い込み、09年の政権交代実現につなげた。それから10年。国会で野党第1党の民進党は都議選では5議席の獲得にとどまり、19議席を得た共産党の3分の1以下の勢力となった。

  蓮舫代表は4日、都議選敗退について「極めて深刻であり、厳粛に謙虚に現実を受け止める」と記者団に語ったが、朝日新聞が8、9両日に行った世論調査では政党支持率が5%と党勢低迷は続いている。

  民進党からの離党の動きも出始めている。2日には藤末健三政調会長代理(参院議員)が離党届を提出。4月には長島昭久元防衛副大臣が党を離れた後、除籍となった。共同通信によると、横山博幸衆院議員も離党を検討しているという。

ポスト安倍

  自民党内では「ポスト安倍」の首相候補として石破茂幹事長、岸田文雄外相の名前が挙がっているが、次期総裁選への出馬は明言していない。石破氏は12年の総裁選で党員も含めた1回目の投票でトップに立ったものの、決選投票で安倍首相に敗退した。岸田氏は宮沢喜一氏ら4人の首相を輩出し、創立60周年を迎えた派閥「宏池会」(岸田派)を率いているが、総裁選への出馬経験はない。

  岸田氏は4日、岸田派のシンポジウムで「政権を取るということを将来考えた場合に、やはり大事なのは忍耐とか謙虚さ、こういった発想なのではないか」と発言。石破氏は7日、自身のブログで都議選結果は自民党が本当に国民の側を見て政治をしているのかが問われたと指摘した。

  安倍政権と距離を置いてきた村上誠一郎元行政改革担当相は7日のインタビューで、石破、岸田両氏について「政策の対立軸を示せないから弱い」との見方を示した。岸田氏については閣内にとどまっている限り、安倍首相の政策を批判できないと語った。

  (過去の記事は見出し下の東大・三浦氏の名前を訂正済みです)

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