日本の投資家が米国、ドイツ、フランスなどといった先進国の国債に食指を再び伸ばした。海外の中央銀行当局者によるタカ派的発言をきっかけに広がった世界的な債券安が起きる1カ月前の動きだ。

  財務相が10日に公表した5月中の対外・対内証券投資によると、日本の投資家は5月に米国債を9カ月ぶりの高水準となる1兆3200億円相当を買い越した。4月は統計データでさかのぼれる2005年以来で過去最高の売り越しだった。仏・独国債についても数カ月ぶりに買い越した。

  日本銀行による金利抑制で国内の債券運用が困難となる中、日本の投資家は、欧米市場に資金の置き場を模索している。投資家のリスク選好が回復したのはフランス大統領選挙でエマニュエル・マクロン氏が勝利した後だ。三井住友アセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは、「ゼロ金利が続く中、日本の投資家は金利差をみながら外債に回帰する必要があった」と指摘。「仏大統領選挙後の政治リスクの緩和が欧州債へ資金が流れる大きな要因だ」と言う。

  日本投資家による5月の独国債の買い越し額は3151億円で3カ月ぶり。仏国債は5913億円の買い越しで7カ月ぶり、水準も昨年7月以来の大きさだった。

  先週の世界的な債券売りが日本の伝統的に保守的な投資家のセンチメントを再び反転させる可能性があるものの、日銀は景気を刺激するための金融緩和を後退させる兆候を見せていない。実際、7日には長期国債を指定した利回りで無制限に購入する指し値オペを実施し、金利上昇の抑制を図った。日銀の黒田東彦総裁も、物価目標目指し安定持続に必要な時まで金融緩和を継続する意向を示している。

  吉川氏は「日本の投資家は選択的な外債投資を続けるだろう」と言い、「金融機関は5月の外債投資で主導した。彼らは株運用に重点を置くといったリスクや通貨リスクを大きく取れないため、今後も外債の主な購入者になり続けるだろう」と語った。

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原題:Japanese Funds Pile Into U.S., Europe Bonds Before Selloff (2)(抜粋)

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